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“タイガー復活”まであと一歩。東海大静岡翔洋はらしさ出しきれず、悔しい準Vに

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東海大静岡翔洋高は得点王とアシスト王を獲得したFW中澤勘太がスペースを狙う

[11.14 選手権静岡県予選決勝 東海大静岡翔洋高 0-3 藤枝明誠高 エコパ]

 今年の選手権静岡県予選を彩った黄色と黒の縦縞。86年度全国優勝、87年度全国2位の東海大一高の伝統を受け継ぐ東海大静岡翔洋高は、「翔洋」として初の決勝へ勝ち上がったが、準優勝に終わった。

 テクニカルなスタイルで決勝へ勝ち上がった東海大翔洋だが、決勝の前半は藤枝明誠高の前からの守備を警戒してロングボール中心の攻撃。敵陣で、良い形で前を向いた際は崩しにチャレンジし、24分にはMF大槻一馬(3年)のスルーパスから俊足FW市川舜基(2年)が決定機を迎えた。

 太田恒治監督は「相手コートで前を向いた時、シュートまで行けていた。良さは出ていた」と振り返る。だが、相手の走力とフィジカルの強さは想定以上。指揮官は「(藤枝明誠は)思った以上にフィジカルが強かった。(後半)足が止まってくるなと思ったけれど止まらなかった」と分析する。

 先制点を奪われたあとは、ボールをテンポ良く繋ぐ時間が増加。得点王(他3人)とアシスト王を獲得したFW中澤勘太(3年)や市川、10番MF成澤慎哉(3年)がゴールを奪い返そうとする。

 自分たちのリズムが出てきていたが、21分にカウンターからの失点で突き放されてしまう。それでも、諦めずに攻めたものの、シュートを放つことができないまま3失点目。太田監督は「自分らのサッカーができなかったことが一番悔しい。もうちょっと自分らのサッカーを見せたかった」と残念がった。

 静岡県Bリーグ(2部リーグ)に所属する東海大翔洋は今大会、1次トーナメントからの戦い。それでも決勝トーナメントでは優勝候補の藤枝東高、常葉大橘高、浜松開誠館高とスーパープリンスリーグ東海勢を連破して決勝まで勝ち上がってきた。

 東海大一時代に全国を沸かせた「タイガー軍団」の躍動に期待は高まったが、太田監督は「勢いだけではなかなか静岡を勝ち切れなかった」。決勝で自分たちの強みを発揮した藤枝明誠高と自分たちのサッカーを思うように展開できなかった東海大翔洋。それが勝敗を分ける差となった。

 成澤は「大会の中で成長することができた。そこは良かった」と振り返り、静岡制覇、「タイガー軍団」復活を託した後輩たちに「必ずやってくれると思う」と期待。エコパを経験した下級生たちが来年、大舞台でも自分たちのサッカーを貫ける力を身につけて全国への扉を開く。

(取材・文 吉田太郎)
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