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[MOM3305]堀越MF日野翔太(3年)_コロナ禍でチーム支えた主将、結実の29年ぶり全国決定弾

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決勝点を決めた堀越高MF日野翔太(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.14 選手権東京B予選決勝 堀越高 2-1 大成高 駒沢陸上競技場]

 最後の最後、土壇場でも冷静な主将が決めた。後半終了間際に同点に追いつかれた試合のアディショナルタイム、勝負所を逃さなかった。第99回全国高校サッカー選手権の東京都大会、堀越高は2-1で大成高を破って29年ぶりの全国出場を決めた。勝利の立役者は、主将のMF日野翔太(3年)だ。

 2シャドーの一角として攻撃をけん引。前半12分の先制点にも上手く関わった。右サイドに大きな縦パスが入ると、すかさず少し後方に空いたスペースへ動いてバックパスを呼び込み、パス交換の間に追い越していったボランチへ縦パスを供給。そこからクロスが入ってゴールへつながった。後半は大成にペースを握られて後半38分に追いつかれたが、冷静に声をかけ、次の失点さえしなければ良いと伝えた。

 そして、その中でわずかな隙を狙っていた。堀越は、試合の後半に投入されたFW若松隼人(3年)が前線でフィジカルを生かす展開。そこへボールを当てて、ポストプレーあるいは競り合いから生まれるセカンドボールからの二次攻撃を狙っていた。後半アディショナルタイム、DF斎藤光(3年)のフィードが若松に通ると、「追いついた相手にも緩みはあると思いましたし、相手は勢いに乗って前に出てくると思ったので、若松に当てた後の落としや、そらしの後のボールを、3分間の中で自分が狙えるかどうかと考えていた」という日野が、若松のボールコントロール体勢を見てゴール前へ移動。若松からボールを受けたMF山口輝星(2年)が中央へ送ったボールを、日野がインサイドのワンタッチシュートでゴールへ流し込んだ。失点直後の勝ち越し弾で、勝負あり。大きな仕事をやってのけた。

 試合終了のホイッスルが鳴ると、多くのチームメートが喜び合う中、日野はその場に突っ伏して動かなかった。東京制覇という大きな目標のために、果たした責務はゴールだけはなかった。堀越は、選手主導のボトムアップ方式でチームを運営している。練習メニューを決めたり、試合で起用するメンバーを決めたりと、選手が責任を持ってチーム運営に携わる。主将は、その中心を担う。場内インタビューで「最後に、苦労してきた主将が点を取ったのが良かった」と日野への思いを語った佐藤実監督は「選手間のやり取りや、戦術・選手交代も含めて、私たちスタッフと密にコミュニケーションを取りながらではあるけれど(選手主導なので)彼が決断をしないといけない。今年はコロナ禍で、選手が集まって認識の共有を図ることもできず、6月になって活動が解禁してからも、まだ名前も分からない新入生がいるような状態で時間が過ぎていく状況。日野は、例年のチームの主将以上の仕事量をこなしました」とチーム作りを率先してきた働きを高く評価した。

 コロナ禍でも選手間の連係を取り、リーダーシップを発揮してきた主将は「シーズンの始めに新型コロナウイルスのまん延によって活動できない時期があり、コンディションやメンタルが落ち込んだ選手もいたし、2か月間は活動できずに試合勘がないところもあって苦労しましたが、自分が率先してやらないとチームが動けないので、責任と覚悟を持って取り組んできました」と歩みを振り返った。ずっと困難に立ち向かい続けてきた主将は、土壇場で同点弾を食らっても、焦ることなくチームをまとめ、自らのプレーで目標達成に導いた。突っ伏した姿には、万感の思いが込められていた。

 29年ぶりの全国出場という目標にたどり着いた今、主将は新たな目標へチームを導く役を担う。今季の堀越は、ポゼッションから多くの選手が一気に連動するコンビネーションアタックが特徴だが、その中で守備にもこだわりを持ってきた。日野は「昨年から一番の目標は、東京制覇。それを達成できたので、もう1回、目標設定をすることになると思いますが、やっていることに自信を持って、勝つために必要なこと。やりたいことではなく、やるべきことをやらないといけない」と喜びに浮かれることなく、足下を見つめ直していた。頼もしいリーダーを擁して、堀越が全国に勝負を挑む。

(取材・文 平野貴也)
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