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[MOM3312]近江MF森雄大(3年)_指揮官と”不思議な縁”持つ主将。選手権初出場へ導く先制弾!

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近江高MF森雄大主将は大一番で先制ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.14 選手権滋賀予選決勝 綾羽高 0-2 近江高 皇子山陸上競技場]

 待望の先制点は、この男のプレーから生まれた。後半25分、近江高MF森雄大(3年)が最終ライン付近でDFとパス交換をした後に前線へ入れたフィードは相手守備陣に対応されたが、そこで得たスローインからボールを受けると、ドリブルで対峙する相手を交わして前進。FW岡島翔生(3年)へ縦パスを送り、動きを止めずにゴール前へ入っていく。そして、PA内深くまで持ち込んで相手DF陣を引き付けた岡島からのマイナスの折り返しを、右足でしっかりと決めてみせた。

「自分がドリブルで相手のマークをずらして、そこから岡島がパスを受けて縦に運んでくれた。相手CBも(他の選手に)食いついていましたね」と冷静に振り返る。森は昨年の県決勝でもゴールを決めているが、結果は準優勝。「あの悔しさを晴らすためにやってきた。今年も決められるようにイメージを積み重ねてきました」と狙っていた2年連続ゴールを見事に実行してみせた。

 試合としては苦しい前半を経て、後半から攻撃にリズムが出たことを勝因に挙げている。「押し込まれる時間はあると思っていた。球際などをしっかりと戦いながら、前半は上手くいかなかったけれど、ハーフタイムの監督の言葉で後半はゴールを狙いにいけました」と指揮官の後押しに感謝した。

 その前田監督と森には不思議な縁がある。2人は共に旧・虎姫町(20年に長浜市へ編入)出身なのだが、森が小学生のときに前田監督の実家を訪れたことがあるのだ。小学校で“地域の偉人を取り上げる”という課題が出て、森は虎姫町からJリーガーとなった前田選手(当時)をピックアップ。そのとき前田選手は海外にいたので、前田家を訪ねて母親に話を聞いたという。

 前田監督がその事実を知ったのは昨年のこと。「うちのオカンが見に来たときに『あの子、うちに来たことあるで』と。そんな選手がキャプテンをして、選手権に連れて行ってくれる。ちょっといい話ですよね(笑)」と嬉しそうにエピソードを話してくれた。森もその事はよく覚えていると言い、「自分もこの地域から全国を目指したいと思った。前田監督が近江高校を指導していたのも理由の一つです」と明かしている。

 キャプテンであり、10番として中盤を司る存在だ。前田監督は「今大会はボランチだけど、いろんなポジションをやっています。低い位置でボールをさばくだけの選手で終わって欲しくない。プロを目指して欲しい」と期待を寄せる。

 森も「ゲームを落ち着いてコントロールする。ボールを失わずに前線やサイドに展開しながら、時には高い位置まで入っていける、相手にとって怖い存在になりたい」と理想を描く。卒業後は関西の強豪校に進学予定。その前に、高校サッカー最後の大舞台で、仲間たちと共にどんなプレーを見せてくれるのだろうか。初の選手権で、近江ブルーを身にまとった彼らの活躍に注目したい。

(取材・文 雨堤俊祐)
●【特設】高校選手権2020

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