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熊本国府は全5試合無失点も準優勝。ビッグセーブ連発のGK吉永はDF陣に感謝し、4年後のプロ入り誓う

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熊本国府高GK吉永縁心は鋭い反応でビッグセーブを連発した

[11.21 選手権熊本県予選決勝 ルーテル学院高 0-0(PK5-3)熊本国府高 えがおS]

 連覇を目指した熊本国府高は全5試合を無失点で終えたが、惜しくも準優勝。PK戦での敗退が決まると、ピッチ、ベンチ前で選手たちが泣き崩れた。

 前半は優勢に試合を進めたが、後半以降は中盤が間延びし、セカンドボールを次々と拾われて押し込まれる展開。。後半10分に勝負へ出て3人替えした後、その一人であるMF山内秀太主将(3年)が負傷退場するアクシデントも痛かった。

 佐藤光治監督は「あの(押し込まれる)状況は(全国初戦で敗れた)去年と同様で、もう1点もぎ取っていく攻撃力をずっと準備はしてきたんですけれども。(中盤、FWも)もう1レベルくらい上がっていかないと連覇もそうだし、全国で勝てる状況は作れないかなと」と残念がった。

 だが、熊本国府も素晴らしい戦いを見せた。特に光ったのが、ゴールを守ることへの責任感の強さだ。この日浴びたシュートは計18本。それでも、GK吉永縁心(3年)が至近距離からのシュートを3本、4本と止め、DF陣が身体を張ってシュートブロックした。

 吉永のシュートストップについては、対戦したルーテル学院高の小野秀二郎監督も「素晴らしかった。あの子がヒーローになるゲームに十分になりえたし、(彼が止めた瞬間、自然と)僕は拍手しました」と絶賛していたほど。キックミスも増えていた吉永だが、この試合で最も印象に残るプレーヤーだった。

 吉永は「自分の出身クラブ(アルマラッゾ熊本)のGKや、後輩にも良い姿を見せれたかなと思います。(ただ)正直、自分だけのセーブではなくてDFラインと連係したプレーだった」とシュートコースを最後まで限定してくれたDF陣に感謝する。今大会は堂々の無失点。その一方、PK戦で自分がチームを勝たせられなかったこと、全国へ進めなかったことを悔しがった。

「最後は自分で締めて勝とうと思っていたんですけれども、実力不足で……。(生田千宝)GKコーチが4年前に決勝で負けていたので、その借りを返して全国への勢いをつけて、(全国初戦で)丸岡にも勝ちたかったんですけれども。一歩届かず、ルーテル学院の方が気持ちが一個上だったので悔しいです」

 その吉永は4年後のプロ入り目指し、地元・九州1部リーグの大学へ進学予定。まだまだ課題もあるが、184cm、80kgとガッチリした肉体とセービング速度の速さは魅力だ。「自分、プロを目指して熊本国府に入ったので、(現横浜FCの)六反勇治さんだったり国府出身のGKでプロになられている方がいるので、その人たちの背中を見て、自分も4年間またサッカー生活がある訳ですし、まずそこでレベルアップして(J3熊本のホームスタジアムである)このピッチや、またJ1のピッチに帰って来れたらなと思います」。選手権への夢を後輩に託したGKは、ここから貪欲に成長を続けて必ず自身の夢を実現させる。

(取材・文 吉田太郎)
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