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U-16日本代表候補は横浜FMユースと2-2。「最後の最後まで」発掘と競争へ

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前半、スルーパスで抜け出したU-16日本代表候補FW内野航太郎(横浜FMユース)が右足を振り抜くが、ポストを直撃

[12.13 練習試合 U-16日本代表候補 2-2 横浜FMユース 高円宮記念JFA夢フィールド]
 
 04年生まれ以降で構成されたU-16日本代表候補(04ジャパン)は13日、高円宮記念JFA夢フィールド(千葉)での合宿最終日に横浜F・マリノスユースと練習試合(45分×2本)を行い、2-2で引き分けた。練習試合後に行われたPK戦は、5人全員が決め5-4で勝利。AFC U-16選手権バーレーン2020優勝を狙うチームは、課題と強みの両方を見せて合宿を終えた。

 U-16日本代表候補は、26人のメンバーが平等に出場できるようなメンバー構成。その中で行われた試合は1本目、2本目を通じて横浜FMユースにボールを握られる時間帯が多かった。だが、前への姿勢を見せるU-16代表候補は良い形で相手を追い込んでボールを奪い、そこからサイドを変えるなど攻めると、クロスから決定的なチャンスも。25分には相手GKの好守に阻まれたものの、右SB島田春人(横浜FMユース)がオーバーヘッドシュートを枠へ飛ばした。

 さらに左SB植田悠太(京都U-18)とFW内野航太郎(横浜FMユース)がワンツーで左サイドを攻略。37分には、スライディングタックルでボールを奪い取ったMF大迫塁(神村学園高)のスルーパスで内野が右中間抜け出す。だが、右足シュートはファーポストを叩き、先制することができない。逆にビルドアップや球際の攻防で苦戦したU-16代表候補は前半終了間際に押し込まれると、連続攻撃を受け、最後はコントロールショットを決められて0-1で1本目を終えた。

 2本目は前半以上に押し込まれる展開に。そしてミドルシュートやセットプレーからのシュートを打ち込まれた。FW福田師王(神村学園高)が強引に仕掛けてシュートへ持ち込むシーンもあったが、自陣での戦いが続く展開。それでも、森山佳郎監督が「今回(04ジャパン)はアグレッシブにハードワークできる」というU-16代表候補はその良さを発揮して試合をひっくり返す。

 33分、J3を経験し、存在感が増してきているMF北野颯太(C大阪U-18)の右足シュートのこぼれ球を中学生FW後藤啓介(磐田U-18)が押し込んで同点。さらに41分には、福田が相手DFと入れ替わる形で抜け出してシュートまで持ち込む。この一撃は横浜FMユースGKにセーブされ、こぼれ球を北野が狙ったシュートもGKに阻まれた。

 それでも41分、前線からプレッシャーをかけると、FW前澤拓城(大宮U18)が相手GKからインターセプト。そのまま無人のゴールへ勝ち越し弾を流し込んだ。だが45分、U-16代表候補は自陣でGKのミスキックを奪われると、クロスのこぼれ球を押し込まれて2-2で引き分けた。

 内野は「チームとしては守備のところでもうちょっと連動して全体で守備できたし、攻撃のビルドアップのところでもバック陣だけで動かすんじゃなくて、全体でFWも、ボランチも、全員がかかわりながらビルドアップできたら良かった」と振り返る。

 アジアの戦いへ向けたメンバー争いは激しさを増している。AFC U-16選手権メンバーは当初、1次予選の登録選手と04年9月1日以降生まれ以降の選手によって構成されるレギュレーションだったが、コロナ禍もあってか04年生まれ以降全ての選手に出場資格が与えられることになった。新たに出場資格を得た選手たちが加わって競争は激しくなったが、北野が「チームとしてはプラスになっていると思うし、同じポジションでも新しい人が入ってきたり、競争が始まったり、チームとしても良い影響が生まれていると思います」と語るなど選手たちは前向きだ。

 一方で今回の合宿メンバーはアジア1次予選から3分の2近くが入れ替わるなど、チーム作りは難しくなっている。それでも森山監督は「だいぶメンバーが変わったので、積み上げてきて共有できる部分は新しく入ってくる選手が多くなると厳しいんですけれども、それでもちょっとでも(選手の)将来に繋がることを優先したい。競争競争で選手が伸びていってくれることを重視して予選直前、向こう(バーレーン)に行ってから(チームを)固めようと思っている。どんどん最後の最後までワールドカップに繋がる選手を見つけられたらそうあるべきだと思うので、その入れ替えを模索しつつ共有できるやつがいればいい」とコメント。21年上旬開催予定のAFC U-16選手権へ向けてチーム作りを継続し、メンバーも徐々に絞っていくことは確かだが、最後まで見落とすことなく選手を発掘し、競争させながらレベルを引き上げていく考えだ。

 内野は「自分は今のままだったら(個人として)アジアでも全然通用しないと思うし、もっと自分の武器であるフィジカルやシュートを磨いて代表でまず生き残ってアジアでしっかりと王者を勝ち取れるように頑張りたい」と意気込み、チームを引っ張る一人になってきている北野は「(目標としてアジアを)連覇して伝説作りたいというのはチームとしてもまとまってきたし、個人としても絶対に勝たせるという思いは強くなっています。意図的に保持しながら暑い中でもペースを握ってできるように。そこがこのチームの課題だと思っているので、そこをしっかりもっともっと突き詰めていければ優勝できると思います」と語った。当初の20年11月開幕から大会が延期され、準備期間が増えたが、それは他国も同じ。04ジャパン全体で個人、チームがレベルを少しでも引き上げてアジアの戦いに臨む。

(取材・文 吉田太郎)

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