beacon

今季全勝の青森山田、安斎「自分たちのサッカー貫き王座奪還目指す」

このエントリーをはてなブックマークに追加

年間全勝での日本一を狙う青森山田高のMF安斎颯馬

 コロナにも負けず、雪にも負けず、年間全勝で日本一まで突っ走る。第99回全国高校サッカー選手権に出場する、前回準優勝の青森山田高(青森)は16日、寒波による降雪の中でも目標に向けて強化に励んでいた。スーパープリンスリーグ東北で得点王に輝いたMF安斎颯馬(3年)は「この数年、ずっと上位に行っているので、他校は『打倒、青森山田』という感じで対策もされるでしょうし、マークも厳しくなると思いますけど、自分たちらしいサッカーをできれば、相手に関係なく絶対に勝てると思う。自分たちのサッカーを貫きたい。昨年、準優勝で僕たちしか知らない悔しさもある。今年は、王座奪還を目指して一戦一戦、戦っていきたい」と選手権にかける意気込みを語った。

 今季は、夏のインターハイが中止となるなど、コロナ禍で公式戦のスケジュールが大幅に変更された。本来ならトップチームが参加するはずだったプレミアリーグEASTも新型コロナウイルスのまん延防止策の一環で関東圏のチームのみで構成されることになり、トップチームとセカンドチームがスーパープリンスリーグ東北に参加。その中で青森山田のトップとセカンドがリーグ戦を制して優勝決定戦を行うなど、とにかく強さが際立っている。

 12日には、JFLのいわきFCとの練習試合にも勝利。この日までに行った2種(高校年代)チームとの試合は、和倉ユースフェスティバルなどの親善大会や練習試合を通して、全勝だという。もちろん、そこがゴールでないことは承知している。安斎は「2種のチームには、引き分けもなくて全勝。先に失点したのは、たぶん2試合くらいしかない。ただ、プレミアリーグEASTが行われていれば、もっと自分たちが追いかけるケースや、大きな大会のプレッシャーなども感じられたと思う。全国大会で失点したときに、メンタルをどう持っていくか。そういう難しさはあると思います」と苦境に追い込まれた経験の少なさが仇となる可能性も指摘し、高い意識で取り組み続ける姿勢を強調した。

 この日は、来季の浦和加入が内定しているDF藤原優大(3年)、前回大会で1年生ながらランク2位の4ゴールを挙げたMF松木玖生(2年)がU-18日本代表候補の活動に参加していたため不在だったが、他の選手もチームを引っ張る気概を持っている。

 前回大会で主力として準優勝に貢献した右DF内田陽介(3年)は、その一人だ。「前回は(優勝の)表彰を下から見上げて悔しい思いをした。悔しい気持ちを持って取り組み続けてきました。インターハイやプレミアリーグEASTは(コロナ禍で)中止になってしまったので、その分、選手権で優勝したい思いは強いです。今大会は、無失点で行きたいです」と頂点を見据えた。

 前回大会における内田のプレーと言えば、ロングスローによる活躍が挙げられるが、チームでもトップクラスの守備力を誇る選手。さらに、今季は攻撃力にも磨きをかけてきた。「守備の1対1は勝てると思っている。ロングスローという武器を見せつつ、アシストもしたい」と意欲的だった。

 夏に右ひざを負傷し、ようやく復調してきたFW古澤ナベル慈宇(3年)も「もう完治したのですが、全国で通用するのか、ちょっと焦っている。人一倍、頑張らないといけない。青森山田の攻撃は、松木や安斎が軸だと思われているけど、いやナベルもいるぞ! と言われたい。『あの選手みたいになりたい』と思われる選手になることが、自分の夢。選手権では、そういうプレーをしたい」と強い意気込みを示した。

 1年次からトップチームに関わっていた大器。ポストプレーが得意だが、前を向いたときの怖さも兼備。最後の最後でエースとしての大活躍を誓う。今後は、2種年代のチームとの練習試合も行いながら、選手権に向けた最終調整に臨む。雪の中でも変わらず強い輝きを放つ最強軍団が、全勝街道を突き進み、王座を奪還する。

前回大会の経験者でもあるDF内田陽介

怪我からの復活、全国での活躍を狙うFW古澤ナベル慈宇

(取材・文 平野貴也)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2020

TOP