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「泣かない方がおかしい」川崎F中村憲剛、12歳長男の手紙に涙と衝撃「文章力の高さに…」

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中村憲剛が家族と記念撮影

 川崎フロンターレ一筋18年の現役生活に終止符を打つMF中村憲剛が21日の引退セレモニー&優勝報告会後、オンライン取材に応じた。涙あり笑いあり、アットホームなセレモニーを終え、「泣かない方がおかしい(笑) 感情を揺さぶられすぎて、みんなの思いがありがたすぎて」と、穏やかな表情で振り返った。

「このクラブからいろんなものをもらったので、僕には還元しなければいけない義務がある。改めて強く決意した夜になった。フロンターレにもJリーグにもそう、日本サッカー界に恩返し、還元したい」

恩師や36人のクラブOB、地域貢献活動で関わってきた地元の人たち、震災後に交流を続けてきた岩手県陸前高田市の関係者も駆け付け、憲剛への感謝を次々と伝えた。苦楽を共にしたFW小林悠は大粒の涙をこぼしてスピーチ。その姿を、涙を浮かべて見守った憲剛は、“サポーター代表”として12歳の長男・龍剛くんが手紙を読み上げると、堪え切れない様子であふれ出る涙を拭った。

「息子の文章力の高さにちょっと引きましたね(笑) いつ考えていたんだろう。自分を見て育ってきてくれた、すごく嬉しく思う。彼が息子であることを父親として誇りに思う。もちろん娘2人も妻もそう。4人がいなければ、僕はここまで頑張れなかった。心の底から感謝しています」

 セレモニーの最後には憲剛のスピーチ後に花火が打ち上がる、粋な演出も用意されていた。場内を一周して約1万3000人のサポーターに挨拶。40歳の主役は“神輿”に担がれ、「祭りみたいでしたね」。チームメイトらに胴上げされ、背番号の「14」回、冬空に舞った。

「胴上げって普通3、4回だと思うんですけど、14回の2セットはちょっと体が危なかった。けど、14回を2セット飛べる選手もなかなかいないと思うので貴重な経験」。03年の加入から川崎F一筋18年。キャリア晩年は史上最年長の36歳でリーグMVPに輝くと、クラブに歴史を築いた。37歳で悲願のリーグ初制覇、翌年は連覇を達成し、昨季はルヴァン杯初タイトルを獲得した。

 ラストシーズンに3度目のリーグ制覇を成し遂げ、残すは天皇杯の初タイトルだ。27日の準決勝に向けて、「今日はさすがに感情を揺さぶられすぎた。なんとか短時間で切り替えてトレーニングに臨みたい」。思い出の詰まった等々力陸上競技場のラストで王手をかけ、クラブ史上初の2冠で花道を飾る。

(取材・文 佐藤亜希子)
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