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東京VユースがPK戦制して8強入り!! 大雪ハンデ乗り越えた秋田U-18も土壇場同点劇で大健闘

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MF権田陽大(3年)が先制点

[12.26 日本クラブユースサッカー選手権U-18大会2回戦 東京Vユース 1-1(PK5-4) 秋田U-18 前橋フB]

 日本クラブユース選手権(U-18)大会は26日、群馬県前橋市のコーエィ前橋フットボールセンターで2回戦が行われた。Bグラウンドでの第2試合は東京ヴェルディユース(関東5)とブラウブリッツ秋田U-18(東北2)が対戦。東京VがPK戦で準々決勝に進んだ。

東京Vユースは25日の1回戦でガイナーレ鳥取U-18に3-0で勝利。一方の秋田U-18は1回戦で対戦予定だった浦和レッズユースが24日に出場を辞退し、不戦勝で2回戦進に出したため、この日が初戦となった。

 前半は東京Vユースが圧倒的に攻め立て、16分MF岩崎壮真(1年)のコーナーキックのこぼれ球を拾ったのはMF権田陽大(3年)。「美味しいところにたまたまこぼれてきたので、思い切り(脚を)振ってやろうと思ったら入りました」とペナルティエリア外から放ったシュートは美しい放物線を描いてゴールへ吸い込まれた。その後も多くの決定機をつくった東京Vユースだったが、あと一歩のところで決めきれなかった。権田も「決めるところを決めないと難しい試合になります」と振り返った通り、前半多くの決定機をつくりながらも、シュート本数自体は3本にとどまったことで、後半の戦いを難しくしてしまった。

 一方の秋田U-18は熊林親吾監督が「初戦だったので慣れるまで時間がかかったのと、雪で試合も練習もできなかったので、フルコートの感覚をつかむのにも時間がかかりました」と話したように、大会直前は大雪でフルコートでの練習が不可能だったという。前半は久々のフルコートに慣れるのが精一杯で、相手の攻撃を受け続けた秋田U-18だったが、後半に入ると、前からのプレスがはまり始め、徐々に相手陣内へ押し込む時間を作り出せるようになっていく。

 そして後半35分、ついに秋田U-18の執念が実った。秋田U-18は相手陣内でロングスローの決定機を得た。これは東京Vユースがクリアするが、セカンドボールを拾ったMF安藤功記(1年)が再び東京Vユースゴール前へロングボールを入れる。そのこぼれ球を処理しようとした東京VのMF吉原悠真(2年)に対し、秋田U-18DF伊藤慶亮(2年)がプレッシャー。吉原はゴール外へクリアしようとしたが、キックミスでオウンゴールとなってしまった。思わぬ形で1-1の同点となり、このまま後半を終えてPK戦へと突入した。

 東京Vユースとしては嫌な形で追いつかれてのPK戦だったが、ここで立ちはだかったのは身長190cmのミャンマー国籍GKカウンゼン・マラ(3年)だった。「相手にプレッシャーをかけるため1本目は絶対止めなければいけないと思いました」というマラは、秋田U-18の1人目が左へ蹴ったPKをパンチングで防ぐ。その後は両チーム全員が決め、東京Vユースは5人目MF西谷亮(2年)が冷静に決めて5-4でPK戦勝利。準々決勝の鹿島アントラーズユース戦へと駒を進めた。

 東京Vユース中後雅喜監督は「まずは勝てたことが良かったです。自分たちは簡単に勝つことができません。プリンスリーグ関東も、この大会の関東予選も、完勝できる力はありません。ただ、僅差の試合をものにしてきました」と関東で厳しい戦いを続けてきたことで、PK戦まで持ち込まれてもタフに戦った選手たちを讃えた。

「チャンスはありましたが、決めきれないと勝ち上がれません。良い形をつくっても何なの?ということになってしまいます。決めきる意識を改めて感じてもらって、成長につなげてもらえればと思います」とこの試合を通じて、ゴール前でのプレー精度へのこだわりを選手たちに学ばせようとしていた。

 一方、健闘しながらもPK戦で敗れた秋田U-18の熊林監督は「勝負事なので悔しいですが、ひたむきに走って、見ている人も楽しかったのではないかと思います。ゴールは相手のミスでしたが、全員がゴールに向かっていった結果です」と選手の頑張りを褒め讃えた。

 9月のスーパープリンスリーグ東北ではベガルタ仙台ユースに勝利し、11月の今大会東北予選ではモンテディオ山形ユースに勝利。東北のライバルに公式戦で勝利を積み重ね、最後の公式戦は関東の強豪を苦しめて「右肩上がりに成長してくれました」と今年の戦いを振り返った。キャプテンのDF高根健輔(3年)は「3年生が少ない中1~2年生に助けられました。1~2年生には良い選手がいるので、来年頑張って欲しいです」と、後輩に大きな期待をかけていた。来年は全国大会でのさらなる飛躍を狙う。

(取材・文 小林健志)
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