伝統の「5」に相応しいプレーをする。DF石田侑資(3年)は堅守・市立船橋高の大黒柱だ。決して特別な高さやスピードを持っているDFではない。だが、宿敵・流通経済大柏高との選手権千葉県予選決勝では、ゴール前で見事な反応、対応力を見せ続けて決定打を打たせなかった。相手エースのFW森山一斗(3年)との1対1もストップ。鋭い出足での潰しや身体を張っての空中戦など鉄壁の守りで強敵を100分間封じ込んだ。

　石田が背負っている背番号は「5」。かつてDF羽田憲司(元C大阪)やDF大久保裕樹(元京都)が「5」を背負って選手権を制し、近年ではDF杉岡大暉(現鹿島)ら名門・市船の守備の中心選手が受け継いできた番号だ。

　今年、その背番号を背負って選手権に臨む石田は、「市船の5番というのは凄く特別というか、プロで活躍している選手たちがつけてきた背番号なので、本当に目立ちますし、見られている部分がたくさんある。逆にそれをポジティブに考えると、自分が良いプレーをすれば市船の『5』は凄いなと思われたり、今後の市船のためにもなると思うので、市船の『5』という番号に恥じないようなプレーをしていきたいと思います」と語る。

　自分が折られたら、チームも負けるくらいの責任感を持ってプレー。その石田には全国大会で対戦したい相手がいるという。それは京都橘高のエースFW西野太陽(3年)だ。西野は徳島ジュニアユース時代のチームメート。また、来季からの徳島トップチーム加入を決めている注目ストライカーだ。

　石田は「色々な注目選手がいる中で、自分が一番ライバル視しているのが京都橘の西野です。同僚でしたし、太陽はヴォルティスに入団できて、自分はできなかった身なので、(互いに勝ち上がれば)ベスト4でも当たりますし、自分がバチバチ止めてというのはイメージしています」。自分も目指していた高校を経由して徳島に戻るという夢を実現したライバル。対戦が実現した際は、絶対に負ける訳にいかない。

　そして、石田は「他にも色々な知っている子や注目されている選手を止めることだったり、完封することで自分の価値も高めて行けると思っていますし、そういう注目度が高い大会だと思っていますし、なおかつチームの勝利のためにということを第一にプレーすれば結果もついて来ると思いますし、一つ一つの試合を大事にということを凄く意識しています」と加えた。夏以降のプレーが認められ、自身のプロ入りも有力になってきている石田は、市船の「5」として勝利に貢献し続けて全国制覇を実現し、より注目される存在となって、次のステージへ向かう。

(※市立船橋高の協力により、リモート形式で取材をさせて頂いています)

(取材・文　吉田太郎)

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