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スローガンは「Be Pirates」。一体感と個人技備えた新鋭・近江がPK戦制して全国初勝利!

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全国初勝利を喜ぶ近江高イレブン

[12.31 選手権1回戦 日大山形高 1-1(PK3-5)近江高 ニッパ球]

 滋賀の新興勢力・近江が全国初勝利だ。第99回全国高校サッカー選手権1回戦で日大山形高(山形)と対戦した近江高(滋賀)は、1-1で突入したPK戦を5-3で勝利。初出場初勝利を飾った近江は、21年1月2日の2回戦で神村学園高(鹿児島)と戦う。

 スタンドにはチームスローガンである「Be Pirates」(海賊になれ!)のビッグフラッグ。「チーム一丸になって戦うということ」(左WB那須日夏留、3年)を大事に、「琵琶湖を有する湖国から全国の大海原で暴れたい」という願いを持つ近江が、全国で躍進するための一歩を刻んだ。

 前半6分、近江は右サイドからショートパスを繋いで左サイドへ展開すると、MF冨板優馬(3年)のスルーパスでPAに走り込んだ那須がPKを獲得。那須が自ら左足で決め、近江にとって夏冬通じて“全国初ゴール”を記録する。
  
 前半は近江ペースで進んだ。この日スキルと判断力の高さを見せていた大黒柱・MF森雄大主将(3年)を中心としたスピーディーなパスワークに加え、那須や右DF大隅颯(2年)がスペースを逃さずに斜めのドリブル。日大山形は守備が後手後手となってしまい、なかなか流れを変えることができない。

 近江は28分にも森の展開から那須が絶妙なクロス。これを冨板が1タッチで合わせる。だが、日大山形はGK横田海以(3年)が好反応で阻止。このあともゴール前のシーンを作られた日大山形だが、何とか凌ぎ続ける。

 山形県勢14年ぶりの白星を狙う日大山形は、前半途中からの選手交代などでディフェンス面を整備。矢作直樹監督は「自分の仕事を整理してハメに行けた部分では良かった」と振り返る。守備が安定した日大山形は前半から前線で強さを発揮していたFW佐藤秀吏(3年)やキープ力秀でたMF金子達海(3年)を起点に反撃。そして後半6分、同点に追いついた。

 日大山形は敵陣での奪い返しからゲーム主将のMF大河原陽(3年)がドリブルで仕掛けて右中間、PAやや外側の位置でFKを獲得。左利きの佐藤と右利きの大河原が相手GKと駆け引きし、大河原がGKの重心と逆側のファーサイドへ右足シュートを放つ。これが見事にゴールネットを揺らし、1-1。この鮮やかな一撃は、山形県勢にとって10年ぶりのゴールとなった。

 これで勢いを増した日大山形は、前へ出て押し込む。対して近江はやや攻撃が急ぎ過ぎている時間帯もあったが、勝負どころで森や冨板らが上手さを発揮。FW岡島翔生(3年)ら交代出場選手たちが絡む形でPAへ侵入する回数を増やした。ただし、決め切ることができずに試合はPK戦へ。ここで「『試合を振り返ってどうこう言うより、今は目の前のPK戦で練習でもやってきたのでそこに懸けろ』と言われたので、PKに全力を懸けました」(森)という近江がPK戦での強さを示す。

 後攻・日大山形1人目、この日存在感を放っていた佐藤の左足シュートがポストを直撃。対して近江は冨板、MF山中亮弥(3年)、森、岡島とコースへしっかりと決めると、最後はDF 前山拓海(3年)が右足で決めて決着をつけた。

 近江の前田高孝監督は強化5年目での全国初勝利を「価値のある1勝」と表現。その一方、「新しい一歩を踏み出せたという思いもありますし、試合直後でもありますので、次のところをどうするかのところで頭がいっぱいですし、選手権終わって最後に『あれが一歩だ』と思えるようになれば良いと思いますし、そうなるためにも次のゲームをしっかりと戦わないといけない」と引き締めていた。

 選手たちもこの1勝で終わるつもりはない。森は「もっと近江高校の歴史を作れるように、これからの近江高校のためにもっと上に行きたい」。2回戦の対戦相手は4年連続出場の鹿児島の強豪、神村学園。「こういう相手に勝つためにやってきている」(森)という近江が自分たちの武器で勝負し、全国でさらなる一歩を踏み出す。

(取材・文 吉田太郎)
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