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「何回も、何回も出ないと」。16年ぶり出場の前橋商は選手権の経験重ねて再び上位へ

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16年ぶりに選手権への扉を開いた前橋商高。後輩たちがまたすぐに選手権へ戻ってくる

[12.31 選手権1回戦 前橋商高 1-2 神村学園高 ニッパ球]

「やっぱり力不足。単純にそこを感じました」。前橋商高の笠原恵太監督は、残り約10分からの逆転負けを喫した神村学園高戦をまず短い言葉で総括した。

 そして、「ボールを何とか握ってと思ったんですけれども、単純なパスミス、トラップミスが多くて。少し押されるかなということを想定していたんですけれども、ボールを奪った後、単純なミスで失ってしまったことを感じました」と加えた。

 前橋商はボールを握ってリズムを作るチーム。この日対戦した神村学園高は今大会トップレベルと言えるほどポゼッション力の高いチームで、複数の年代別日本代表も擁していた。前橋商はボール支配されることを想定し、普段よりも守備意識を強く持った中での80分間。立ち上がりにロングスローからFW仲宗根純(3年)のゴールで先制すると、チーム全体が連動しながらコンパクトな守備を継続し、相手に思うような崩しをさせなかった。

 守備一辺倒になるのではなく、奪った後もエースMF坂本治樹(3年)やMF石倉潤征主将(3年)、仲宗根が収まりどころになるなど簡単には失わず、サイド攻撃からクロスにファーサイドの選手がゴール前へ飛び込む形で決定機を作り出した。攻撃面の良さも示していたが、笠原監督が指摘したように相手の切り替えの速い守備の前にボールを保持する時間を伸ばせず、押し込まれる時間が増加。結果的にそれが終盤の2失点に繋がり、指揮官はチームとしてよりレベルアップすることの必要性を口にしていた。

 16年ぶりにゼブラカラーのユニフォームが選手権の舞台に立った。現役時代に全国3位を経験している笠原監督は、「16年ぶりということで私も含めて初出場のようなものなので難しいなという部分と、色々な全国の監督さんがいますけれども、何度も何度も出ないと分からないなというのが正直な部分で、選手の力を出してあげられなかったなというところですかね。ミスも本当に多かったですし、落ち着きとか、メンタル的な部分だと思う。何回も、何回も出ないと、と感じました」。最終ラインで奮闘したCB庄田陽向(2年)やFW大熊葉薫(2年)、MF松澤匠真(2年)、左SB 高橋大地(2年)が今大会を先発として経験。群馬県には前橋育英高や桐生一高という伝統校が存在するが、その中で選手権の経験を重ねて全国上位に食い込めるように、またすぐに大舞台へ戻ってくる。

(取材・文 吉田太郎)
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