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選手権は1月2日に2回戦。怪我で予選欠場の矢板中央DF坂本主将は「チームのために」

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矢板中央高の右SB坂本龍汰主将は「チームのために」

 第99回全国高校サッカー選手権は1月2日、2回戦を行う。前回大会3位の矢板中央高(栃木)は今大会初戦で徳島市立高(徳島)と対戦。前回大会を先発として経験している右SB坂本龍汰主将(3年)は「日本一になれるようにこの1年間ずっとやってきたので、そこはブラさないで、チームの一人ひとりその目標に向かっていきたい」と語った。

 坂本は10月の練習試合で鎖骨を骨折。栃木県予選は全く出場することができなかった。「怪我した当初は悔しい気持ちとキャプテンとして不甲斐ない気持ちでいっぱいで……」。だが、代わりにゲーム主将を務めたCB新倉礼偉(3年)らが「全国に連れて行くよ」という言葉を実現して全国に連れて来てくれた。

 プラスになったこともある。離脱中はこれまでよりもBチームの選手と接する時間が増加。「Bチームの人の本気度がより伝わってきて、Bチームでもこんだけ頑張っている人いるし、こんだけ上手い人がいるのにAチームはこれで良いのかなと考える時間も長くなったし、そういうところは良かったと思います」。Aチームに求めるものもより高まった。

 その坂本は12月12日に行われた真岡高との県1部リーグにBチームの一員として出場。翌日のプリンスリーグ関東の川崎F U-18戦でAチームの公式戦に復帰した。出場時間は25分ほどだったというが、いきなり同点ゴールをアシスト。離脱中は上半身や体力強化はできなかったが、「キックというところは上達しているのかなと」実感している。

 坂本の不在中には2年生の右SB山越結平が台頭。12月半ばの時点では「出れるかなと不安で、今もめっちゃ不安」と心境を明かしていたが、「自分自身試合に出れても出れなくてもチームのためにという気持ちが強くて、やっぱりチームで日本一を取ることが目標なので」とどのような立場で大会を迎えても全力で日本一のために戦うことを誓っていた。

 坂本は1年時から学年リーダーを務めてきた。主将としての振る舞いを元主将の川島諒太コーチや金子文三コーチから指摘されながら学び、リーダーとして徐々に成長。「(川島コーチからは)まず嫌われないようにするなと。嫌われても、常に声を出してオマエだけが浮いていても良いからと言ってくれて。自分は技術面とかでみんなを引っ張っていくタイプではないので、声とか、勢いの部分で引っ張って行けたらなとそういうところは毎日意識してやっています」。今大会直前も金子コーチの言葉でサッカー以外の部分の重要性を再確認。その部分も追求しながら全国大会に向かっている。

 高橋健二監督は坂本に対して、「DFラインの統率、チームとしての意識統一。戻ってきて活躍して欲しい」と期待する。その坂本にとって全国初戦は地元・徳島の徳島市立との対戦だ。相手のMF中田舜貴主将(3年)やDF前田俊(3年)、DF三倉頼真(3年)、MF大野龍功(3年)ら小学生時代から対戦したり、面識のある選手ばかりだ。「栃木に来て(個人としても)負ける訳にはいかない」という思いはもちろんあるが、自分のことよりもチームが日本一になるために勝つことだけに集中する。

「自分の地元の徳島市立と初戦でやれるとはなって色々な思いがあったんですけれども、チームが目指しているのは日本一なので、自分の情は出さずに、初戦だけを見るんじゃなくて日本一を見据えて一戦一戦やって、“死のブロック”と言われていますけれども、どこもかしこも強豪だと思うので、一戦必勝を目指して行きたいなと思っています」。自分が不在の間に頑張ってくれたチームメートたちにどんな形でも恩返しし、必ず日本一を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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