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帝京大可児、最高成績に並んだ!! 丁寧にボールを動かすサッカーで明徳義塾の5バックを攻略!!

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帝京大可児が明徳義塾の5バックを攻略し3回戦進出(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 選手権2回戦 帝京大可児 2-0 明徳義塾 味フィ西]

 試合序盤に先制しペースを握った帝京大可児高(岐阜)が終始ゲームを支配し、明徳義塾高(高知)に2-0で勝利。2017年度大会のベスト16超えをかけて3日、青森山田高(青森)と駒沢陸上競技場で対戦する。

 5バックを敷き、前からのプレスで全体を押し上げるように圧力をかける明徳義塾。ボールを丁寧につなぐ帝京大可児がその圧力をくぐりぬけられるかが注目された。しかし、試合開始から1回戦のような勢いが明徳義塾に感じられない。

「最初からチャレンジャーとしての入り方ができなかった。勇気をもっていけなかった」と明徳義塾の小松晃監督が悔やむ。

 予想していたほどの圧力を受けなかった帝京大可児は、相手の間を上手く突いてボールをコントロール。やりたいサッカーをキックオフ直後から展開する。すると前半15分。左サイドからゴール中央に進出したFW大森涼(3年)からパスを受けたMF三品直哉(2年)が左足でシュート。GKが弾いたところをMF遠藤颯(3年)が詰めて先制に成功する。

「昨年から行っている前進から最後の部分。5バックに対しても県予選から5バック気味の相手はいたので、崩しに取り込んでいて、意図的に崩せました。ひとつずつずらしていって逆サイドで仕留めるパターンと、サイドに振るフリをして真ん中でさらに崩すか。形を決めているわけではないのですが、判断して相手の裏をかくというのはこだわってやってきているので」という帝京大可児の仲井正剛監督も評価するゴールだった。

 ただ仲井監督は「早い時間に点が入ったが、その後取り切れなかったことで後半、圧力をかけられペースを持って行かれかけた」と述懐する。その言葉の通り、前半は単発のチャンスしかなかった明徳義塾だが1回戦でも活躍したMF高良泰生(3年)を前半のうちに投入。ロングスローのこぼれ球から徐々にチャンスをうかがうようになる。

 その中で後半12分、帝京大可児に待望の追加点が生まれる。1回戦2ゴールの大森が右サイドのドリブル突破から中央にボールを入れ、一度はDFにブロックされたボールを再度押し込んだ。「自分たちのサッカーができている時間、できていない時間があるなか、よく粘った」と仲井監督が振り返る中でのゴールだった。

 一方、後がなくなった明徳義塾は後半の飲水タイム前にFW喜納瑠唯(3年)とMF原山元(2年)を入れてギアを上げる。セットプレーでは身長185㎝のDF岡崎航大(3年)をターゲットに1点をもぎ取りにかかる。26分にはFKからのボールを岡崎が頭で押し込むが惜しくもオフサイド。その後は帝京大可児のバランスとの取れたゲームコントロールに抑え込まれてしまった。

 明徳義塾のキャプテン、DF松下総龍(3年)は「前半0-1はOKというプランでした。ただ、前半最初からいこうと言っていてプレスがかけられないうちに失点してしまった。早い段階で失点したことで2失点目は取られたくないという気持ちが働き、より前からいけなくなった」と語る。ゲームの入りがいかに重要かを思い知らされる試合となった。

 帝京大可児は過去最高成績である「ベスト16超え」を合言葉に戦っている。その目標まであと1勝。相手は青森山田だ。「厚みがあり迫力がある。そのなかで慌てずにボールを動かせるかどうか」と仲井監督が語れば、キャプテンのMF小宅空大(3年)も「最高成績を残したい。青森山田とやりたい。その両方がそろった。いいサッカーをして歴史を塗り替えたい」と意気込みを語る。脈々と紡がれてきた帝京大可児のサッカーが問われる一戦がやってくる。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 伊藤亮)

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