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[MOM3364]帝京大可児MF小宅空大(3年)_背中で引っ張るキャプテンが丁寧なサッカーを最適化!!

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帝京大可児MF小宅空大(3年)が高い危機察知能力でボールを刈り取る(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 選手権2回戦 帝京大可児 2-0 明徳義塾 味フィ西]

 前半15分に先制、後半12分に追加点。結果だけを見れば帝京大可児高(岐阜)の理想的な展開に見える。しかし1点目と2点目の間にはチャンスを決め切れない時間、明徳義塾高(高知)に圧し込まれる時間があった。その危機を回避し、有利に試合をコントロールして見せたのがキャプテンとして、そしてボランチとしてピッチ中央に立つMF小宅空大(3年)だ。

「1回戦は、前半自分たちの試合ができても後半ができなかったのが課題でした。でも今日は最後まで自分たちのサッカーができたかと思います」

 ポイントは明徳義塾のプレスと5バック。特にどう意図的に5バックを攻略するかが注目された。

「5バックでもサイドから。マンツーマンで強く出てくるイメージだったので、まずFW大森涼(3年)に当ててはがして、DFラインに段差をつけながら攻めていくというのが自分たちの頭の中にありました」

 分析した結果とピッチ上で起きていること、その両方を頭の中で整理し、やるべき最適の判断を見出す。その冷静さが随所に見える。

「前半はなるべく早く点を取りたい中でパスサッカーしていけると感じて、FWがCBをはがせるのもわかったのでもう一人のボランチMF鈴木淳之介(2年)に高い位置を取らせました」

「後半、分析したところでは相手の10番FW喜納瑠唯(3年)と24番MF原山元(2年)が入ってきた時にギアが上がる。そうなったら引いてセカンドボールを拾うことと、競り合いに意識を集中しました」

 ベンチからの指示で動く場合もあれば、感覚で動く場合もある。仲井監督は「ボランチの小宅はボール奪取能力が高く、鈴木はボールを進めるのが上手い。そのいいところどうしを引き出し合って学び合って力をつけてきた」と評価する。相棒の鈴木も「DFがすごく強く、背中で引っ張っていってくれるたのもしいキャプテン」と全幅の信頼を寄せる。

 試合終盤、圧力を強める明徳義塾の攻撃を身体を張って守っていた。ただ特徴的なのは、危なくなりそうな場面でほどプレーの強度が上がっているように見えることだ。技術、体力もさることながら、危機察知能力といったセンスのよさが光る。

 センスに好不調の波はない。対戦を望んでいた青森山田とは次の3回戦で対戦する。そのキャプテンシーとセンスを含めた実力がどこまで通用するのか。一番楽しみにしているのは、おそらく本人だろう。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 伊藤亮)

●【特設】高校選手権2020

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