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合言葉は“あいつのために”…好セーブ連発の山梨学院GK熊倉匠「自分が決められなければ負けない」

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山梨学院高GK熊倉匠(3年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 全国高校選手権2回戦 山梨学院高1-0鹿島学園高 NACK]

 ともに戦ってきた仲間を負傷で欠いて迎えた一戦。山梨学院高の主将を務めるGK熊倉匠(3年)は、「あいつのために」との思いを強く持ちピッチへと立った。

 31日に行われた米子北との初戦。後半26分にチームをアクシデントが襲い、負傷したDF板倉健太(3年)がプレー続行不可能と判断されてピッチを後にした。チームは1-0の勝利を収めたが、2回戦・鹿島学園戦のメンバーリストに板倉の名前はなかった。

 チームを率いる長谷川大監督が板倉の現状を説明。「味方同士でバッティングして、目の上が腫れて額から目がふさがるくらい血がたまっている。日に日に腫れは引いているが、医者からストップがかかっている状態で、彼は今日、次の対戦チームのビデオを担当している」。

 米子北戦でも181センチの長身を生かしたプレーで本職の守備でチームを引き締め、セットプレー時に相手の脅威となった板倉の不在は痛手。しかし、「セットプレーで板倉がいない分、優位性がなくなるが、ポジショニングやそこにいくまでの準備」(長谷川監督)をしっかりと行うことで、“守備の軸”の穴を最小限にとどめようとした。

 そして、熊倉が「板倉が怪我をしてしまったが、『あいつのために勝とう』と全員が一致団結した。チームがより一つになったことが一回戦とは違った」と語ったように、チームはより結束を強めて試合に臨んだ。

 鹿島学園に押し込まれる時間帯があった。決定的なシュートも打たれた。しかし、熊倉が好セーブを連発してゴールを守り抜く。「自分がゴールを決められなかったら、試合に負けることはない」と鬼気迫るプレーを見せるだけでなく、最後方から声を出してチームメイトを鼓舞し続けた。

 すると、後半29分にMF広澤灯喜(3年)が決勝点となるゴールを叩き込み、1-0の完封勝利を収めたチームは3回戦へと駒を進めた。

 鹿島学園戦では試合終盤にMF石川隼大(2年)が負傷交代。厳しい台所事情が続くが、指揮官は「いろいろな選手が日替わりで出て貢献するのが今年のチームの強み。誰が出ても遜色なくプレーできる。それぞれの持つ色と役割を間違えずに発揮させたい」と語る。1年間を通じて厚くなったという選手層を生かし、再び一丸となって次戦・藤枝明誠戦に挑む。

(取材・文 折戸岳彦)

●【特設】高校選手権2020

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