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静岡王者に襲いかかった39年ぶり出場の新田、“ボール一個分”の敗戦もベスト尽くした80分間

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前半20分、新田高はMF岡田樹(左)のゴールで2-0。堂々の戦いで静岡王者を苦しめた

[1.2 選手権2回戦 藤枝明誠高 3-2 新田高 駒場]

 39年ぶり出場の新田高(愛媛)が、静岡王者の藤枝明誠高に襲いかかった。立ち上がりからハイプレスで主導権を引き寄せると前半8分、エースMF玉井斗和(3年)がGKの頭上を越す約30mのスーパーゴール。DF大野哲平主将(3年)が「玉井のゴールっていうのはチームの勢いを乗らせる力がある」という一撃で完全に乗った。

 県予選5試合で18ゴールを叩き出している新田はアグレッシブなサッカーを継続。20分にもMF岡田樹(3年)の思い切りの良い左足ミドルがDFの身体を弾いてゴールへ吸い込まれた。清水祐貴監督が「こっちの想像以上に良い出足ができた」という連続パンチで2-0。静岡王者を飲み込みかけた。

 前半終了間際の失点が悔やまれるが、退場者を出して10人での戦いになった中でも組織的な守りで1点リードを保持。ボールを握られ、ゴール前にクロスを通されても、決定打を打たせずに奪い取った。そして、相手に隙あらばカウンター。残り12分で追いつかれたあとも下を向かず、GK田中藍人(2年)のファインセーブや各選手のハードワーク、カウンター攻撃など勝利への強い思いが伝わるような戦いを見せた。

 後半40分の失点で2-3。相手のゴールエリアからのシュートをカバーに入ったDF濱田拳斗(3年)がクリアしたようにも映ったが、ボールはわずかにゴールラインを越えていた。本当にボール一個分、紙一重の敗戦。大野はサッカーを始めてから憧れだった場所で「一人ひとりがベストを尽くしてくれた」ことを感謝する。

 初出場校や久々に出場する高校は選手権の経験がない分、どうしても苦戦してしまうことが多い。その中で、39年ぶり出場の新田が静岡王者相手に堂々の80分間。清水監督は「欲を言えば勝ちたかったんですけれども、あれだけ注目しているチームに一時2-0まで行けて、見ている人を楽しませられる試合ができたのは良かったし、39年ぶりで注目してもらったので、連続して出れるように新たな歴史を積み上げられるようにしていきたい」と力を込めた。

 また、大野は後輩たちへ向けて、「また来年、自分たちよりも良い結果を残して欲しいと伝えました」。39年ぶりに扉を開いた先輩たちに現在の1、2年生たちが続いて、次は白星を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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