beacon

ボロ負けの夏から差を詰めるも注目対決で敗退。「良い学年」の京都橘は全国制覇の夢を後輩たちへ託す

このエントリーをはてなブックマークに追加

京都橘高は徳島内定FW西野太陽中心にゴールを目指したが…

[1.2 選手権2回戦 京都橘高 0-2 昌平高 駒場]

 0-3で敗れた夏から差を詰めることはできた。だが、上回ることはできなかった。

 今年の京都橘高は、先発に身長180cm以上の選手が5人、平均身長も177.6cmという大型チーム。徳島内定FW西野太陽(3年)という実力派ストライカーも擁した京都橘は、「橘として初めて」(米澤一成監督)という3バックを採用し、高さや注目エースの強みを活かした戦いで勝ち上がってきた。

 松本国際高(長野)との初戦は、西野とすでに複数のJクラブが関心を寄せるFW木原励(2年)の強力2トップがともに2ゴールを挙げるなど、6-0で快勝。そして、2回戦では8月のRYUKEI CUP(茨城)で0-3のスコアで敗れている昌平高(埼玉)と対戦した。

 夏の対戦は徳島へ練習参加していた西野が不在。ベストの陣容で臨む再戦で夏からの進化も示し、勝利することを目指した。大会前に木原が「RYUKEI CUPで昌平にボロ負けしているので、そこでリベンジしたいというのがある」と意気込んでいた戦いだが、自分たち同様に昌平も進化。MF中野晃弥主将(3年)は「(昌平は)夏の時よりも、仕留める決定力が上がっていました。またフィジカルが上がっていると感じました」と分析する。

 立ち上がりはDF金沢一矢(3年)のロングスローでゴール前のシーンを作り出したものの、徐々にボール支配される時間が増えると前半20分、24分に守りを崩されて連続失点。特に前半は守備への切り替え速く、バランスも良い昌平の前に苦しいクリアやミスが続いてしまい、西野、木原までなかなかボールが到達しなかった。

 後半は金沢の1トップ、中盤の人数を増やす陣形へ変更。特に後半半ば以降は押し返す時間帯が増え、ゴールまであと一歩というところにまで迫った。だが、西野が切り返しから放った一撃がDFにブロックされ、DF小山凌(3年)の決定的なシュートが枠上へ外れるなど1点を奪い返すことができない。そのまま0-2で試合終了。米澤監督は「夏からは少し縮められたと思うけれど、もう少し(チームを磨き上げる)時間があれば」と残念がった。

 2回戦屈指の注目カードで敗れたが、全国制覇を本気で狙う関西の雄は6大会ぶりに選手権1勝。米澤監督は「3年生はまとまってくれていましたし、良い学年だった。3年生と長く時間を過ごしたかった。長くやれなかったのは私の責任だと思いますし、(ロッカールームで)そういう話をさせてもらいました」。そして、中野は、「僕自身キャプテン初めてで分からないことが多かった。副キャプテンのGK郷田凪砂(3年)をはじめ、(仲間が支えてくれたお陰で)自分一人ではここまで来れなかった」と仲間たちに感謝した。

 一体感ある戦いによって、また選手権で一歩を刻んだ京都橘の3年生。全国制覇の夢はこの日一緒に戦った木原やMF長谷川裟恭(2年)、DF原田太陽(2年)ら後輩たちに託す。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2020

TOP