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[MOM3372]堀越MF中村ルイジ(2年)_“守備ではSB、攻撃ではWG”驚異の運動量で決勝ヘッド

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攻守に大活躍だった堀越MF中村ルイジ(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.3 選手権3回戦 堀越高 2-0 丸岡高 駒沢]

 ピッチを縦横無尽に駆け回った。堀越高(東京A)は攻撃時は3-4-2-1の形だが、守備になると、左ウイングバックのMF中村ルイジ(2年)が最終ラインにまで落ちて4バックを形成。そこから攻撃に転じると、一気に左サイドを駆け上がり、ウイングバックどころかウイングのような高い位置を取った。

 前半16分、MF日野翔太主将(3年)のスルーパスからMF古澤希竜(2年)の右クロスに中村が頭で合わせる。これはGKの正面を突いたが、同30分、再び古澤がドリブルで右サイドを突破し、ゴール前にクロス。逆サイドから飛び込んだ中村が今度こそ打点の高いヘディングシュートをゴール右隅に叩き込んだ。

 驚異的な運動量と身体能力を見せた2年生MFについて佐藤実監督は「もともと技術は高いが、身体能力も今日決めたようなヘディングを試合で何本も決めている」と指摘。「攻撃に入ったときにはほぼウイングの形になる。右サイドの古澤はスピードがあるが、もう一個(中で)合わせる選手が都大会のときはいなかった。それができたのは今回の選手権の形なのかなと思う」と、東京都予選まではなかった新たな武器となっている。

 東京都予選時はFWとしてプレーしていたという中村が左サイドにコンバートされたのは予選終了後。「左サイドをやることになって、最初は不安もあった」。率直に打ち明ける中村だが、予選後の1か月半で必死に練習から取り組み、守備も攻撃も磨きをかけてきた。

「守備では4-4-2のフォーメーションを作って、自分が左サイドバックになる。(守備時にサイドハーフに落ちてくる)シャドーの選手にどう守備させるかは自分が声をかけないといけない」。FWでプレーしていたときには考えられなかったサイドバックとしての守備。「監督や日野くんに言われることをしっかり聞きながら、素直に飲み込んでやっていこうと思っている」と貪欲に取り組んできた。

 そんな下級生をキャプテンの日野も「練習から手を抜かずに意識高くやってきたことが今日の結果として出たんだと思う」と称える。サイドバックとして守備で貢献しながら、攻撃時はウイングとなり、ゴールまで決めてみせた。中村は得点シーンを振り返り、「あそこに入り込むのは自分の位置からすると難しいけど、ファーに詰めることで自分が折り返せたり、シュートが打てたりする。そこでしっかり決め切れたのはよかった」と胸を張った。

「ルイジ」という名前は3つほどあった候補の中から「響きが良かった」という理由で両親が決めたのだという。堀越として初の8強入りを決め、5日の準々決勝では青森山田(青森)に挑む。「やってきたサッカーをそのまま出すだけだと思うので、この半年で詰めてきたことを出し切れるように頑張りたい」と意気込んだ。

(取材・文 西山紘平)

●【特設】高校選手権2020

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