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覚悟していても驚異…対戦相手も「怖かった」と唸る富山一のトリッキーなセットプレー

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(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.3 高校選手権3回戦 神村学園0-1富山一 等々力]

 富山一高(富山)は今年も多彩なセットプレーを武器に、堅守速攻とハードワークで手堅く試合を運ぶ。インターハイ準優勝の昨年度、選手権は3回戦で青森山田高(青森)に1-4で敗れていたが、15年度大会以来、5年ぶりのベスト8進出を決めた。

 学校関係者らのみに開放されたスタンドの観客を沸かせるのが、トリッキーなセットプレー。大塚一朗監督は「今年は特にキッカーの精度とヘディングの選手がいるのが武器になっている。同じやり方をしても、場面場面の強度に注意しながらやったつもりでいます」とチームのストロングを磨いてきた。

 アイディアを形にするのが、右のFW吉倉昇空(3年)と左のDF富田脩平(3年)が繰り出す精度の高いキック。その一端を見せた後半21分にはPA右手前の位置でFKのチャンスを獲得すると、選手たちがピッチ上に集まって話し合った後に、吉倉、富田とキックフェイクを入れてから吉倉が蹴り込み、ファーサイドのDF女川陽生(3年)がフリーで合わせる決定機を創出した。

 意表を突く動きで相手を翻弄すると、後半29分、右CKの流れからニアサイドでクリアボールに反応したMF福岡輝(3年)が反転してねじ込み、決勝ゴールが生まれた。試合後、神村学園高(鹿児島)のMF永吉飛翔(3年)主将は「色々なセットプレーがあるのは知っていましたが、自分たちが知らないトリッキーなプレーをやってきて怖かったという印象」とその脅威を明かした。

 チャンスを仕留めれば、DF孝井捺希主将(3年)を中心に5-3-2のシステムで強固な守備ブロックを敷き、ハードワークを徹底。「守備組織や細かいポジショニングでカバーしあうのが自分たちの戦い方」と語った孝井主将は「対戦相手によって自分たちの戦術、守り方を臨機応変に変えて、きょうのような1-0の勝ち方だったり、自分たちから攻撃のリズムを作って、一試合を通して自分たちのサッカーをして勝つ」とベスト4進出を見据えた。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2020

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