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[MOM3380]矢板中央DF新倉礼偉(3年)_連続無失点! 雪辱の埼スタに導いた“赤い壁”の柱

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攻守に渡る活躍を見せた矢板中央CB新倉礼偉(3年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.5 高校選手権準々決勝 矢板中央2-0富山一 駒沢]

「後ろはゼロで終われて、前の選手も点を入れてくれた。戦った選手だけじゃなく、ピッチに立てなかった3年生の想いも背負って戦えた」。矢板中央高(栃木)の堅守を支えるCB新倉礼偉(3年)が2試合連続完封に大きく貢献し、“埼スタ切符”をもたらした。

 守備組織の中央に構える187cmの新倉と188cmの島崎勝也(2年)、屈強なセンターバックコンビが安定感を示した。富山一が武器とするセットプレーの圧力に序盤から押されたが、前半を無失点で折り返すと、後半2ゴールを奪っての完封勝利。新倉は周囲と連動しながら積極的に声を掛けて守備陣を統率し、無失点に抑える任務を遂行した。

 この日の活躍は本職の守備にとどまらなかった。後半26分、島崎のロングスローから波状攻撃で押し込むと、ゴール前の混戦からこぼれ球に反応。右足で蹴り込んだシュートがネットを揺らし、勝利を決定付ける2点目をマーク。集中力を切らさずに富山一の反撃をシャットアウトし、2年連続の埼玉スタジアム行きを決めた。

 神奈川県出身の新倉は堅守速攻を掲げる名門・矢板中央のサッカーを志向して入学。「スタイルが合っているかなと思った。中学生の時も選手権を目標にサッカーをしてきて、矢板中央が一番近いかなと感じました」。その目標を叶え、伝統の堅守をけん引するプレー。3回戦東福岡戦(0-0 PK3-1)でも存在感を放ち、特に終了間際は覚悟や意地を見せるように、連続のシュートブロックで窮地を救い続けた。

 高橋健二監督は2試合連続で80分間をゼロに抑えたCB陣のパフォーマンスを称賛。「成長段階だったんですが、どんどん安定感が増した。特に今大会に入ってからは一試合一試合、成長の姿が見えた。こんなに安定感が増して驚いています」と目を細めた。

一年前の悔しさは忘れていない。ボランチだった昨年度は準決勝・静岡学園高戦(●0-1)に途中出場したが、「自分の無力さを思い知らされた」。90+4分のPK被弾で敗れた静学戦の雪辱を果たすために、埼スタのピッチに舞い戻る。コロナ禍の自粛期間は筋トレや体幹トレに励み、食事を意識して8kg増量。たくましく成長を遂げて挑む準決勝へ。「昨年はベスト4で悔しい思いをした。今年は準決勝に勝って、優勝したい」と日本一を見据えた。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2020

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