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青森山田は2年生FW名須川2発!代役から「一番個人として伸びた選手」と認められる存在へ

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前半32分、青森山田高FW名須川真光が2点目のゴール

[1.5 選手権準々決勝 堀越高 0-4青森山田高 駒沢]

「個人的に、1年間成長したと思う選手がスタメンにもサブにもいるんですけれども、一番個人として伸びた選手が名須川かなと客観的に思っています」

 青森山田高のCB藤原優大主将(3年、浦和内定)が、この一年で最も成長した選手として名を挙げるのが2年生FW名須川真光だ。「ナベルが怪我して、誰が埋めるんだという中で名須川が思った以上に働いてくれてチームとしても活性化しましたし、ナベルにはないような良さがあって、またそれがアクセントになって、チームとしての成長にも繋がっていると思います」と讃える。

 その名須川はこの日、前半28分に右SB内田陽介(3年)の1タッチクロスをダイビングヘッドで決めると、32分にも藤原のシュートのこぼれに体ごと飛び込んでゴールへ押し込んだ。黒田剛監督も「空中戦もフリックすることも割とできていたし、収まることも割とあった。名須川に関しては悪くなかった」とまずまずの評価。青森山田の1トップとしての役割を果たして勝利に貢献した。

 今年、新チーム発足後から青森山田の1トップを務めていたのは、FW古澤ナベル慈宇(3年)だった。強靭なフィジカルを駆使して前線でボールを収め、競り合いでも強さを発揮するなど、攻撃の起点に。だが、7月の県総体代替大会決勝で負傷し、長期離脱を強いられた。

 ナベルの影響力はチームにとって大きかった。その中で代役に指名された後輩FWがすぐに結果を出せた訳ではない。それでも、名須川8月の和倉ユース大会準決勝で1ゴール1アシスト、決勝でも2ゴールと活躍して優勝に貢献。「ナベルさんが怪我した時に『自分背負っていけるのかな』と思って、ずっと怖くて、点を決めれなくて、みんなに『ナベルの方が良い』とずっと言われていて、ショックもあったんですけれども自分がここで逃げてはいけないと思ってずっと頑張っていました」とホッとした表情を見せていた2年生は、その後も努力を続け、この日の活躍に繋げた。

 ナベルと比較される中でも逃げなかった。そして、自分の強みであるボールを収める部分やがむしゃらに走り、戦う部分、ゴール前に飛び込んで決める力を全力で発揮し続けた。もちろん、精度の部分など課題もあるが、“代役”は現在、前線で青森山田に良い影響をもたらす存在となっている。

 今大会の得点数はまだ2だが、得点ランキングトップとの差はわずか2。青森山田の全国制覇のために戦いながら、結果を残せば、代役だったFWが個人タイトルを獲得する可能性も十分にある。

(取材・文 吉田太郎)
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