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29年ぶり出場の選手権で初の8強、青森山田から“基準”も得た堀越は新たなスタートの大会に

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MF日野翔太主将ら堀越高は、青森山田高から“基準”を学ぶ試合に.(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.5 選手権準々決勝 堀越高 0-4青森山田高 駒沢]

 29年ぶり3度目の出場で初のベスト8進出。そして、準々決勝で2カテゴリー上のプレミアリーグに所属(20年度は限定のスーパープリンスリーグ東北所属)する青森山田高と真剣勝負する機会を得た。結果は前半の4失点によって0-4で敗戦。シュート数2-17の完敗だった。

 堀越高はチームの歴史を塗り替えたが、優勝候補筆頭・青森山田の前に進撃はストップ。MF日野翔太主将(3年)は「自分たちの今のこの準備では足りなかったかなと思います。寄せのところとかも今の自分たちの“基準”よりも全然高くて、完敗だったなと言うのがあります」と認めた。

 それでも、佐藤実監督は「高校サッカー界の中でもスーパーなチームと対戦することができて光栄」と感謝し、「これまでは多分、テレビでとか、メディアさんの情報ということでしか知らなかった世界なので、これを体感できたことからこの“基準”をさらに超えて、努力して、またこの舞台に帰って来たいなと思います」と“基準”を知った1、2年生たちとともに選手権に戻ってくることを新たな目標に掲げていた。

 青森山田相手に通用した部分もあった。前半に日野がドリブルからポスト直撃の左足ミドル。0-4で迎えた後半もGK平野裕太(3年)のPKストップをはじめ、ポゼッションの精度、スピードも上がり、リズム良く攻める時間を増やしていた。

 DF陣もCB井上太聖(3年)や平野を中心に全員で戦っていたからこその0-0という後半。加えて、佐藤監督は「1点目を獲りに行くとか、諦めない姿勢というのは凄く伝わってきた。後半は(日頃から)積み上げてきたものが少し出せたのかなと思います」と目を細める。最も新型コロナウイルスの影響を受けた東京都の代表校であり、都予選で主軸CB馬場跳高(3年)が負傷離脱した中での戦いだったが、彼らは言い訳することなく、環境に感謝しながら最後まで戦い抜き、人間的にも成長して選手権を終えた。

 青森山田から学んだ様々なものは、3年生の将来や新生・堀越の“基準”となる。日野は「(青森山田の)セットプレーは強烈でしたし、自分たちも対策をしていたんですけれども、その上を来たというのは感じましたし、一人ひとりの試合に対する気持ちは強かったと思いますし、この熱量というはこの試合だけじゃなくて、一年間通してやっていると思います」。相手の鋭い寄せや強烈なセットプレー、勝負に懸ける思いの強さ、そして、「日常」。この経験を将来に繋げられるかどうかは、自分たち次第だ。体感した3年生たちが可能な限り後輩へ伝え、1、2年生たちはそれを忘れずに受け継いで行くこと。選手権で新たなスタートを切った堀越は1年後、より自分たちの“基準”を高めて選手権に戻ってくる。

(取材・文 吉田太郎)
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