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沼津内定FW伊藤龍生が一矢報いるも鹿屋体育大初戦敗退…高校選抜FWも大学4年間は「しんどかった」

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FW伊藤龍生が後半アディショナルタイムにゴールを奪った

[1.7 #atarimaeniCUP1回戦 鹿屋体育大1-3東海大]

 後半アディショナルタイム4分、相手のクリアボールを拾ったFW伊藤龍生(4年=米子北高/沼津内定)は、素早く右足を振り抜く。これがゴールマウスを捉えた。

 しかし反撃はこれだけ。伊藤の意地のゴールで一矢報いた鹿屋体育大(九州3)だったが、東海大(関東9)に1-3で完敗し、初戦敗退となった。

 大学生活最後の大会、4年間切磋琢磨してきたFW藤本一輝(4年=藤枝明誠高/大分内定)は昨年10月28日の天皇杯3回戦ヴェルスパ大分で前十字靭帯を負傷。手術を行ったが、経過は順調で、勝ち上がれば今大会準決勝での復帰に間に合う可能性も出ていただけに、「敗けちゃったので申し訳ない」と唇を噛んだ。

「FWとして最後に点を取れたことは良かったと思うけど、チームを勝たせるというところでは全然ダメでした。後半最初から出してもらえたのなら、早めに点を取ることが大事だった。そこは一つ課題にしてやっていければいいなと思います」

 1年目から主力としてやる、そして4年間で力をつけて必ずプロになってやるという自信を持って鹿屋にやってきた。

 伊藤は山陰の名門・米子北高時代は世代屈指のストライカーとして活躍。高校2年生で頭角を現すと、同年のプリンスリーグで後期だけで10得点。3年生になって不動のエースになると、18得点を決めてリーグ得点王にも輝いた。同年高校選手権でも活躍すると、日本高校選抜にも選ばれて、欧州遠征も経験した。

 ただそんな伊藤にも、大学サッカーの壁は立ちはだかった。「自分がやってやるという気持ちで1年生から臨んでいたけど、大学の状況判断、米子北でやっていたサッカーでは生きなかった」。

 また「プロになれるのか」と疑いを持つ時期もあったという。しかし「プロになりたい」という気持ちだけは切らすことがなかった。「体づくりなど、プロになるために出来ることはあった。しんどかったけど、すごい考えさせられた4年間でした」。

 同期の藤本や後輩のFW根本凌(3年=上田西高/22年湘南内定)が入団を内定させたJ1クラブでデビューを飾る一方で、伊藤は昨年12月24日にようやくJ3アスルクラロ沼津への入団を発表した。

「高校選抜で一緒だったみんなも早く決まっていて焦りもあった。でもみんなと電話したり、瑶大(佐藤瑶大=明治大、G大阪内定)とも電話し合った。僕はJ3ですけど、『いずれJ1で。待っておけよ』と話しています」

 4年前に思い描いていた姿とは違うかもしれないが、4年間の積み重ねが必ず生きる日がやってくるはずだ。「点を取ることにこだわってやっていきたい」。内定発表リリースでも力強く決意を示した通り、“泥臭く、がむしゃらに”、今春よりプロキャリアをスタートさせる。

(取材・文 児玉幸洋)
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