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[MOM700]流通経済大FW齊藤聖七(2年)_海外短期留学、チョウコーチとの出会い…刺激的な1年を過ごし音速の進化

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FW齊藤聖七(2年=清水ユース)の2ゴールなどで流経大が2回戦を突破した

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.8 #atarimaeni CUP2回戦 仙台大0-4流通経済大]

「聖七の調子が良くなったことが、この大会に関していうと強いかなと思っています」。2得点を奪ったFW齊藤聖七(2年=清水ユース)のプレーぶりを、流通経済大の中野雄二監督も手放しに称えた。

 齊藤が決めた先制点は前半終了間際のアディショナルタイム1分、左サイドの縦パスで深い位置に入ったDF佐々木旭(3年=埼玉平成高)のクロスを落ち着いて流し込んで均衡を破ると、直後にはGKとDFへのハイプレスからボールをカット。無人のゴールに流し込んで、あっという間に2得点を記録した。

 刺激的な1年だった。新型コロナウイルスの影響が出始める直前にクロアチアの強豪、ディナモ・ザグレブに短期留学。約3週間の日程だったが、トップチームの練習にも参加するなど、大きな学びを得た。

 また帰国後は就任したチョウ・キジェコーチの指導で更なるレベルアップを図った。「(2点目の場面も)チョウさんの『行っちゃえ』という声が聞こえた。FWとしての泥臭さが出せるようになったと思います。もともとユースにいたのでプロの選手が近くにいたけど、チョウさんに出会ってプロに対する考えが変わりました。そういう監督に出会えたことは刺激でしかなくて、すごい1年間だったと思います」。

 今は流経大に進学して良かったと心から思っている。清水ユース時代も有望株として期待され、高校3年生の春先からトップチームに帯同。トップ昇格を目指して、アピールを続けていた。

 しかし同じく昇格を目指していたGK梅田透吾のみが昇格。現在早稲田大に在学するDF監物拓歩と齊藤の2人は、昇格が見送られることになった。また齊藤はギリギリまで見極めがされていたため、昇格見送りが判明したのは9月すぎ。そこから進学先を探すことになったという。「最初はJ2のチームでとか言われてはいたけど、トップチームの練習で第五中足骨を骨折しちゃっていたのでそれどころではありませんでした」。

 今オフにはユース時代の1学年上の先輩で、高卒でトップ昇格したFW平墳迅とDF伊藤研太が契約満了。プロ3年目でチームを離れることを余儀なくされた。齊藤にとっても改めてプロの世界の厳しさを痛感させられる出来事になった。「現実をみた。自分は大学でやっていてもプレースピードは変わらない。今は本当に大学に来て良かったなと思っています」。

 ただし清水への愛情を失ったわけではない。もちろん“復帰”を第一優先で希望している。現在スカウトを務める兵働昭弘氏とは、トップチームの練習に参加していた際に同じ選手として所属していたこともあり、現在も良好な関係が築けているという。「流大は前から行くスタイルで清水ユースとは全くけど、そこは成長の糧になっているかなと思っています」。今季は関東リーグ2部でランキング4位の12得点を記録したが、目指すところはまだまだ高い。流大スタイルに染まるセナは、音速のスピードで成長する。

(取材・文 児玉幸洋)
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