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明治大涙の終戦…栗田監督「本当の意味での強いチームではなかった」

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[1.9 #atarimaeniCUP2回戦 明治大1-1(PK2-4)東海大]

 Jリーグ内定者12人を出した明治大(関東2)の今季の戦いが終わった。

 コロナ禍で変則、そして過密日程になった関東1部を連覇したシーズン。しかし合間に行ったトーナメント戦のアミノバイタルカップでは、1回戦で東海大に敗戦。主力メンバーを欠いた戦いになっていたが、まさかの結果となっていた。

 意識せざるを得なくなった相手。奇しくも今季最初で最後の全国大会の2回戦でリベンジマッチが設けられることになった。明大は1回戦で2ゴールを決めたMF藤原悠汰(3年=広島皆実高)や年末のIリーグ全国大会で好調をアピールした身長2mFW赤井裕貴(2年=帝京高)を先発で起用。そしてプロ内定の7人を先発させる“本気の布陣”で勝利を目指した。

 FW武井成豪(4年=東海大高輪台高)との1対1をGK早川友基(4年=桐蔭学園高/鹿島内定)がストップするなど、開始早々に失点した1回戦を反省した試合運びをみせた明大は前半28分、赤井のポストプレーからMF持井響太(4年=滝川二高/東京V内定)が横にドリブル。シュートは相手に当たってこぼれるが、これをFW小柏剛(4年=大宮ユース/札幌内定)が押し込んで先制点を奪う。

 ただそこから突き放すことができない。そして徐々にピンチが生まれだすと、後半35分のゴール方向に向かったMF力安祥伍(4年=広島ユース/金沢内定)のヘディングでのクリアは早川が何とかかき出したが、同38分、相手FKからDF米澤哲哉(4年=湘南工科大附高)にヘディングで繋がれ、さらに混戦をDF佐藤颯人(4年=東海大相模高)に押し込まれて同点に追いつかれてしまう。

 2試合連続で延長戦に突入すると、今度は決着をつけられないままPK戦に突入。そしてPK戦では先攻の明大は、一人目のMF住永翔(4年=青森山田高/長野内定)が大きく枠上に外してしまうと、3人目のDF蓮川壮大(4年=FC東京U-18/FC東京内定)も止められて万事休す。東海大が4人全員が成功させたところで、日本一連覇の夢は潰えた。

 栗田大輔監督は第一声、「しょうがない」としながらも、「うちのサッカーが出来なかった。点を先に取って受けに回っちゃった印象があった。最後まで本当に100%、120%の力を発揮できて負けたわけじゃないから、みんな後悔があると思います」とイレブンの無念を代弁する。

 プロ12人内定で注目されて臨んだ今大会だったが、「本当の意味での強いチームではなかった」と振り返る。個人で注目されることの多い今季のチームだが、大学タイトルを総なめにしたチームと比べ、ムラが多かったという。「ベースはプロの養成所じゃない。なのでプロが何人だというのは僕は気にしていません。毎日を一生懸命やってもらうことがテーマ。そういう意味ではブレのある年だったなという印象です」。

 それでもコロナ禍の特殊なシーズンで、関東大学リーグ1部で明大史上初の連覇を達成したイレブンには誇りを持ってほしいと話す。「リーグ優勝というのは一週間のトーナメントとはわけが違う。そこの価値はものすごく重く評価している。今大会は負けてしまったけど、そういったいい時と悪い時を来年のチームに生かしてもらえればいいんじゃないかなと思います」と3年生以下のリアクションを期待する。

 2年間、紫紺の背番号10を背負った小柏も、「涙も出てきているように悲しい。八幡山に残っている選手たちの思いも背負ってやったんですけど、こういう結果は申し訳ないし、すごく残念」と肩を落とした。ただこの悔しさを持ってプロの世界に飛び込むことを誓う。「4年生全員がプロに行けるわけではないが、僕には幸いにもステージがある。そこでサッカーを続けない4年生の思いも背負って、どんどんJリーグで結果を出さないといけないなと思います」。今日の敗戦からそれぞれ未来へ向けた第一歩が踏み出される。

(取材・文 児玉幸洋)
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