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藤枝順心、全試合無失点での選手権2連覇達成&歴代最多タイ5度目の日本一!!

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優勝の瞬間、ピッチ上で喜び合う藤枝順心の選手たち

[1.10 全国高校女子選手権決勝 作陽 0-3 藤枝順心 ノエスタ神戸]

 第29回全日本高等学校女子サッカー選手権大会決勝は、藤枝順心(東海2/静岡)が作陽(中国1/岡山)を後半の3ゴールで突き放し優勝。前回大会に続く連覇を達成するとともに、常盤木学園(宮城)と並ぶ大会史上最多5度目の栄冠を、全試合無失点で手にした。26回大会(2017年度)に続き2度目の決勝進出を果たした作陽は、その時と同じ相手である藤枝順心にまたも苦杯を喫することになった。

 前半から藤枝順心のハイプレスが機能した。作陽の最終ラインまでプレスをかけ、自由な時間を与えない。作陽も前を向けた時は早めに前線へボールを送るなどする。互いにCKからチャンスを作る場面もあった。特に藤枝順心は28分、31分とCKからのシュートをバーに当てるなど攻め込むが、点が取れず、スコアレスドローで前半を終えた。
 藤枝順心の多々良和之監督は「作陽さんは後ろからしっかり繋いでくるチームと分析し、うちのハイプレスとどうかみ合うかと思っていた」と試合を予測していた。対する作陽の池田浩子監督は「前半は思いのほか前からのプレスもはまり、中盤でボールも動かせてサイドから攻撃の起点も作れていた」と見ていた。ただし「相手のワイドを起点とする攻撃は予測できたが、何本かやられてディフェンシブな選手たちがアプローチにいけなくなった時間から相手のペースになった」とも分析。後半はマークの再確認と、アプローチの距離を縮めることを指示した。攻めながら点が奪えなかった藤枝順心と、手ごたえをつかんだ作陽。この時点では、どちらに試合が転んでもおかしくなかった。

 作陽からすれば、だからこそ後半開始直後の失点が悔やまれる。後半2分、藤枝順心は左CKからショートコーナーでつないで上げたクロスを、FW窓岩日菜(2年)がヘディングで合わせ先制。「後半、CKのトリックプレーから失点し、我慢してた気持ちが1回切れたところからの連続失点で試合が難しくなった」(作陽・池田監督)というように、続く後半7分には相手DFが収めかけたボールを奪ったFW斉藤花菜(2年)がゴールにボールを押し込み追加点。18分には後半から投入されたFW高尾真莉奈(3年)が、左サイドでボールを持つとDFをかわし、角度のないところからファーのサイドネットに突き刺さる豪快なシュートを決めて藤枝順心が3-0とリードした。

 攻めながら前半無失点と流れはよくなかったが、なぜ後半巻き返せたのか。多々良監督は「今年のチームは状況に合わせてシステムを変えられるのが大きい」と言う。「基本4-3-3ですが、3-4-3や4-2-4、また人やポジションを変えローテーションを組みながらやってきた」(多々良監督)。ゲームに応じて臨機応変に対応する効果は、今大会15得点中13点が後半に生まれていることが示している。また藤枝順心キャプテンのMF柳瀬楓菜(3年)は「守備から確認し合って、後半から真莉奈も入ってくるので前からプレスをかけて決め切ると話し合いました。みんなが勝つという気持ちを持っていました」と語る。
 一気に点差をつけた藤枝順心はそれでもハイプレスの流れをやめない。無失点優勝に対する強い意識があったからだ。ただ、作陽も気持ちの強さでは負けていない。後半40分、途中出場のDF梶山朋恵(2年)が中盤から前線のMF井出段祐有(2年)にパスが通る。これを井出段が右足で振り抜くとボールはポストを叩いた。「何度も優勝している相手に厳しい戦いになることは予想できましたが、自分たちのサッカーをやりきりたかった」と作陽キャプテンのDF岡本亜子(3年)が言うように、結局3-0で試合は終了したが、作陽の意地を見た瞬間だった。

 藤枝順心も決して順風満帆だったわけではない。コロナ禍でチーム作りは遅れ「12月の段階で例年の9月くらいの」仕上がりだったという。東海大会では決勝で同じ静岡の常葉大橘に敗れ東海地区第2代表での出場だった。それでも「今年の武器はハイプレスとカウンタープレスという原点に立ち戻った」(多々良監督)ことで優勝に辿り着いた。ここ6年で4度目の優勝。次は3連覇と最多優勝回数の更新をかけた年となる。優勝の歓びより、コロナ禍での大会が無事最後までできたことに対する安堵の気持ちが大きいと語りつつ、さらなる進化を求めてこの偉業に挑むつもりだ。
 
(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 伊藤亮)
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