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「空の分まで」父親急逝の仲間のためにも…手術明けの流通経済大GK鹿野修平が奮闘

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流経大のゴールを守ったGK鹿野修平

[1.10 #atarimaeni CUP準々決勝 法政大1-0流通経済大]

 流通経済大の「関東2部から日本一」を目指した挑戦は8強で止まった。法政大(関東7)に序盤から攻め込まれ苦しい試合展開を何とか無失点で耐えていたが、後半31分にFW飯島陸(3年=前橋育英高)に均衡を破るゴールを決められた。

 GK鹿野修平(3年=流通経済大柏高)は急仕上げで今大会に臨んでいた。昨年10月の試合中に左手を骨折。手術を行い、12月中旬の練習でようやく復帰の目途を立てていた。

 さらにリーグ終盤の試合でゴールマウスを守っていたGK北川空(2年=三重高)の父親が昨年末に急逝したために、北川の準々決勝までの欠場が決定。中野雄二監督は「7割8割の出来」と本調子ではないことを理解した上で、鹿野にゴールを守ることを託していた。

 鹿野は「自分があそこで防ぎきれなかったのが敗けた原因だと思います」と声を詰まらせた。手にはまだ、痛々しい手術痕が残るが、「自分としてはベストコンディションだった」と言い訳にはしなかった。

「空は明後日帰ってくる予定だった。準決勝に間に合うから、空の分までとGKコーチと何が何でもやろうと話していた。それができなくて申し訳ないです」

 流通経済大柏高時代は控え。しかし大学進学後は当時正GKだったGK薄井覇斗(3年=流通経済大柏高)からポジションを奪い、立場を逆転させた。背番号1は「こういう大舞台で緊張しなくなった」と成長を実感すると、「まだ課題だらけなので、今年学んだことを来年に生かしていければいいなと思います」と敗戦を肥やしにすることを誓った。

ベンチには北川空の21番のユニフォームが掛けられていた

(取材・文 児玉幸洋)
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