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「ずっと決められていなくて」…山梨学院FW野田武瑠、初得点は決勝での起死回生の同点弾

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優勝した野田武瑠は「恩返しできてよかった」

[1.11 選手権決勝 山梨学院高2-2(PK4-2)青森山田高 埼玉]

 先制しながらも青森山田高(青森)に逆転を許した山梨学院高(山梨)。1-2で追いかける後半33分、背番号10が試合を振り出しに戻した。素早くリスタートして中央のFW笹沼航紀(3年)にわたると、レフティはMF山口丈善(3年)へスルーパスを送る。マークについていたDF内田陽介(3年)が足をのばしてなんとかボールにさわるも、こぼれたスキを見逃さずFW野田武瑠(3年)が左足で蹴り入れた。「がむしゃらに打ったら入った」。冷静に狙いすましていたように見えたゴールだが、懸命のプレーだったと背番号10は振り返った。

 今大会6試合目の出場にして初得点。「いままで得点を狙ってきたんですけど、ずっと決められていなくて」と野田は自責の念にかられていた。しかし、「そういった中でも『つぎは決めろ』とか『がんばれよ』というメッセージをたくさんもらって、自分を応援してくれる人がたくさんいると感じていた」。とりわけ両親から届いた長文のメッセージを読んで、「両親のために点を取って勝ちたい」と決意を新たにした中で、思いを結実させた。

 大会前には「競争力が激しくて誰がスタメンで出るかわからない」(野田)とチーム力の高さをうかがわせていたが、選手権では1回戦から決勝までの全6試合で2トップの座は、野田とFW久保壮輝(3年)が射止め、2人揃って大会優秀選手にも名を連ねた。

 昨年から指揮を執る長谷川大監督に対しては、「自分のことをいつも気にかけてくれて、うまくいかないときでも『お前はもっとできるんだぞ』ということを言ってくれてすごく自信になりました」と感謝を並べた。

「優勝候補ではなかった」中でもひとつずつ階段を駆け上がった。「まだ実感がわかなくて。すごいうれしいんですけど、仲間とかの顔を見てすごいことを成し遂げたなと思います」。11年ぶり2度目の“日本一”を母校に持ち帰った。

(取材・文 奥山典幸)
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