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決勝でベストパフォーマンス。山梨学院の2年生ボランチ・谷口航大が意識した「平松君プラスアルファ」

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山梨学院高の2年生ボランチMF谷口航大は大会優秀選手に選出された。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.11 選手権決勝 山梨学院高 2-2(PK4-2)青森山田高 埼玉]

 日本一を懸けたPK戦。山梨学院高の4人目、MF谷口航大(2年)の右足シュートがゴールを破った瞬間、激闘に決着がついた。谷口にとっては、山梨学院進学の理由でもあった全国制覇を実現。「最初から自分たちは青森山田に勝つ、そして日本一になるというのを掲げてやってきたので、それが達成できたのはとても嬉しかったです」と喜んだ。

 2年生ボランチは決勝で、「一番」のパファーマンスを見せた。前半12分、「自分にマークが誰もついていなくて、自分が思い切って飛び出せばそこでフリーでもらえてチャンスに繋がると思った」という谷口は、ボランチの位置から右中間のスペースへ飛び出してパスを受けると、逆サイドから駆け上がってきたMF広澤灯喜(3年)への横パスを通す。

「最初はFWの人を見ていたんですけれども、2枚のDFがFWに吸い寄せられていました。後ろから上がってきた選手が見えたので、そこへ通せば点に繋がると思ったので出しました」。バイタルエリアを横切ったパスは広澤の下へ通り、右足シュートによって先制点となった。

「今までアシストとか、点という結果が全然出ていなくて、自分の中でも何か一つ決勝で残そうと思って、それが良い形で残って良かったです」と谷口。その後は持ち味の守備能力を存分に発揮した。相手のカウンター攻撃をケアし、潰しの部分でも健闘。そして体力に自信を持つMFは110分間走り切り、PKも決めた。

「決勝が一番納得できて、プレーの中で一番持ち味が出せて、結果も残すことができたし、体力という面も自分たちダブルボランチはウリでプレーしていたので、決勝で一番納得の行くプレーができたのは一番良かったです」

 守備面は2学年上の先輩MF平松柚佑(現早稲田大1年)を彷彿とさせる。平松は2年生だった18年のインターハイで優勝に大きく貢献して優秀選手に選出され、3年時は主将。分厚い肉体を活かしたコンタクトの強さと体力で相手の攻撃の芽を潰し、自らゴールも奪うMFだ。その平松は鹿島アントラーズつくばジュニアユース出身で、谷口も鹿島アントラーズジュニアユース出身。同じ鹿島育成組織出身でもあるボランチは、谷口にとって「1年生の時から平松君は試合見ていて凄いと思うところがあった」という存在だ。

 意識しているのは平松のプレーを取り入れつつ、自分自身の色を出すこと。特に決勝は、攻撃でアグレッシブに前に出て得点に繋げたところなど「平松君プラスアルファというところはできたんじゃないかと思います」という動きで優勝に貢献し、大会優秀選手に選出された。

 すぐに県新人戦から新チームはスタート。「プレッシャーとか重圧はあると思うんですけれども、それを跳ね除けないと連覇というのはできないと思うので、今年よりも来年の方が山梨学院は凄いと思われるようにプレッシャーを跳ね除けてやっていきたい。出ている選手が中心になってやっていかないといけない」と谷口は責任感を口にする。

 最大の目標は「選手権で2連覇」。個人としても、「プロを目指すというのは大前提」と掲げている。選手権決勝で現状のベストパフォーマンスを発揮した谷口だが、攻撃を落ち着かせる部分、ビルドアップの質はまだまだ上げなければならないと実感。個人としてはその部分を改善し、よりチームに貢献する選手になる決意だ。そして、山梨学院全体で成長しながら、選手権で先輩たちが見せたような一体感あるチームを作り上げ、全国連覇を果たす。

(取材・文 吉田太郎)

(※山梨学院高の協力により、リモート取材をさせて頂いています)
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