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後半崩れて青森山田に完敗も、東北準V。仙台育英にとって学びと自信の4試合に

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決勝の前半35分、仙台育英高はFW佐藤遼(9番)が青森山田高のゴールを破った

[1.25 東北高校新人選手権決勝 青森山田高 6-1 仙台育英高 Jヴィレッジ]

 日本一を本気で目指している仙台育英高にとって、東北高校新人選手権は学びと自信を得る貴重な機会となった。U-16日本代表候補の注目MF島野怜主将(2年)や新エースFW佐藤遼(2年)、MF明石海月(2年)と1年時から活躍してきた選手たちが、最高学年に。その現2年生は1年時のU-16全国大会で3位に入った期待の世代でもある。東北決勝の対戦相手は、全国高校選手権で3年連続決勝進出中の青森山田高。全国でどのくらい戦えるのか指針となる一戦に「山田とこんな状況でやれるのは幸せ。やろうとしてやられたとしても財産になるから負けてもやろうとしていることを思い切ってやろう」(城福敬監督)という意気込みで臨んだ。

 立ち上がりは相手の高さに対応できず、飲み込まれる形で2失点。その後はセットプレーの守備で競るDFとGKがしっかりと役割分担をして対抗していた。そして、2点差を維持しながらカウンター攻撃、サイド攻撃などで相手ゴールを目指すと、35分に左SB笹谷光成(2年)のクロスから佐藤が頭で4試合連発となるゴールを決めた。

 だが、一気に同点を目指した後半の開始直後にセルフジャッジでプレーを止めてしまい、その隙を突かれて痛恨の3失点目。佐藤は「自分でももう1点獲れるんじゃないかという期待があったんですけれども、あの失点でガクッと来てしまいました」と振り返ったように、その落胆は大きく、悪い流れを変えることができなかった。

 城福監督は「良い勉強」と語っていたが、改めて主審の笛が鳴るまではプレーを止めてはいけないこと、目の前のプレーにこだわることを学ばされる試合に。同時に勝負へのこだわりや強度、高さなど現在の青森山田との差を体感する試合となった。

 笹谷は「自分たちは日本一を掲げてこの新人戦も挑んできて、こうやって決勝戦で青森山田に完敗した悔しい気持ちをこれからの大会に全部ぶつけることと、あとは日々の練習を無駄にしないでやることが徐々に日本一に近づいていくために必要だと思います」と語った。

 新型コロナウイルスの影響で練習時間が制限される中、計4試合を経験。DF大塚俊輝(2年)ら主力候補を怪我で欠いていたが、準決勝までは無失点で島野、明石、佐藤を中心とした攻撃面でも自力があることを示した。青森山田相手にできることがあったことも確か。自信も得た選手たちは、城福監督が「追いかけるものがはっきりあるので良いですよ」という同地域の強豪・青森山田に並べるように、また仙台で努力を重ねる。

(取材・文 吉田太郎)

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