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快足MF黒瀬が決定機絡むも、攻撃特長の尚志は無得点での敗戦から改善へ

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尚志高MF黒瀬舜は推進力のある動きで青森山田高ゴールへ迫った

[1.25 東北高校新人選手権準決勝 尚志高 0-5 青森山田高 Jヴィレッジ]

 尚志高の仲村浩二監督は5失点して敗れたことよりも、1点を奪えなかったことを問題視していた。19年度の全国高校選手権は初戦で徳島市立高から1点を奪えずにPK戦で敗退。昨年の同大会予選も学法石川高に0-1で敗れて連覇が6でストップしている。

 攻撃的なチームの尚志が無得点での敗退。それだけに、「取れていないのは課題。今回のテーマも『1点もぎ取れ』と言っていた」(仲村監督)という。前半は左サイドから完全に崩し、ファーサイドでフリーとなったMF黒瀬舜(2年)が決定的なシュートを放ち、前半終了間際にもMF新谷一真(2年)のラストパスに反応した黒瀬が決定機を迎えるシーンがあった。

 新谷とMF松尾春希(2年)のダブルボランチや、今大会4得点のFW村上力己(2年)らが絡みながらボールを前進させ、推進力十分の黒瀬の動きもアクセントになっていたが、後半はシュートゼロで無得点。50m走5秒9の快足を持つ黒瀬は「縦への突破から急に停止したり、切り返したり、そういう緩急のところが持ち味だと思います。まだ自分の突破からのクロスやシュートもいつもの試合よりも出せていなかったので、そこの仕掛けとかは自分の武器なので何度もしないといけないのに出し切れなかったので悔しいです」と唇を噛んだ。

 今大会は、練習での頑張りを評価して171cmのGK佐藤風馬(2年)を起用。佐藤はシュートをよく止めていた印象だが、この日はDF陣含めて青森山田高のセットプレーの強さに苦しんだ。ただし、高さのある浦和ジュニアユース出身のGK鮎澤太陽(1年)を起用するなど対青森山田高の選択肢はある。また、いずれも怪我で不在だったU-17日本代表CBチェイス・アンリ(2年)やCB安江海ラウル(2年)が加われば、セットプレーで大きな差をつけられることはなさそうだ。

 まずは現状の力で臨み、よりボールを支配しなければ青森山田を上回ることができないこと、また青森山田の「サッカーに懸ける思いが全然違う」(仲村監督)ことを体感できたことが重要。今年の尚志は、素早さや運動量を特長とする選手たちが多い。彼らは目標の全国制覇を果たすために高い意識を持ってやるべきことに取り組んでいく。

 黒瀬は「みんなと係わりながら崩していく部分で、パスとかトラップとか基本的な部分がまだまだ」と課題改善を誓う。その一方、「小室(雅弘)コーチから言われていた、サイドだけに張っているだけでなく、CBの裏へ抜け出すオフ・ザ・ボールの動きは、自分の中ではできてきたと思う。自分は高卒プロを狙っているので、インターハイや選手権がまだあるので自分の突破からドリブル見せつけてゴールやアシストに繋げていきたい」と意気込んだ。個人、チームとしてレベルアップし、堅守・青森山田相手でも得点を奪い、上回るチームを目指す。

(取材・文 吉田太郎)

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