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選手権から世界へ続く“ストーリー”。山梨学院の日本一に貢献した「ラッキーボーイ」MF広澤灯喜がポルティモネンセU-23へ

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ポルティモネンセのU-23チームに加入することが決まった山梨学院高MF広澤灯喜。(写真協力=高校サッカー年鑑)

 選手権から世界へ――。ポルトガル1部リーグ、ポルティモネンセは6日、山梨学院高MF広澤灯喜(3年)がU-23チームに加入することを発表した。広澤は当初、系列の山梨学院大へ進学する予定だったが、ポルティモネンセは日本一に輝いた全国高校選手権での活躍を評価してオファー。元々海外志向の強かった広澤は渡欧することを決断し、契約、すでに練習にも参加しているという。

 山梨学院高の長谷川大監督が選手権期間に「オマエがラッキーボーイだ」と言い続けていたMFが選手権日本一に貢献し、海外でプレーするチャンスも勝ち取った。広澤はレアル・マドリーが各国で行っているジュニアキャンプに参加し、山梨学院進学後も海外留学の希望を口にしていたというほど海外への強い思いを持っていたプレーヤー。だが、まずは山梨学院で結果を残すことを目指してきた。

 高い技術力に加えて前への推進力、ハードワークしてディフェンスへ戻る力、そして決定力の持ち主。指揮官は選手権開幕の1か月前頃からプレー面で変化してきた広澤が、日本一へのキーマンになると見ていた。実際、全国2回戦の鹿島学園高戦では後半13分に右足で決勝点。青森山田高との決勝も「右サイドから崩して広澤で仕留める」という狙い通りの形から先制点が決まった。そして、日本一。その直後、代理人を通して海外挑戦の話が届いた。

 長谷川監督は「アイツには運みたいなものがあります。(決勝のゴールは)入念な準備をしてアイツにボールが来るというストーリーがあって、そこでアイツが仕留めた。選手権で優勝していなかったら、こうならなかったと思います。強みを思う存分発揮して(関係者の)目に留まったのが理由だった」と説明する。

 長谷川監督は選手権後、優勝メンバーに対し、自分たちの力だけではなく、1年間やってきたことの成果や「テレビの先で応援している3年生の思い」も乗り移って決まったゴール、ディフェンスであることを説いていた。広澤の海外挑戦も、進学予定だった山梨学院大などの理解があったからこそ。「色々な人の支えで勝ち取ったんだと思う」(長谷川監督)。

 渡欧した広澤から、長谷川監督には「覚悟を決めてやりたい」という連絡が入ったという。山梨学院の3年生が大いに刺激を受け、後輩たちにも好影響を与えている広澤の海外挑戦。山梨学院が選手権でも貫いたチャレンジする姿勢を持って海外に挑む教え子へ向けて、長谷川監督は「ここがスタート。持っている運みたいなものを努力によって形にすることで花開いて欲しい」と期待した。

 選手権で優勝して海外からのオファー。「高校サッカーでもこういう“ストーリー”があるんだなと思いました」と長谷川監督が口にした“ストーリー”は、ここから新たな章が始まる。広澤は感謝の思いを持って、挑戦。そして、新たなチャンスを掴み、支えてくれた人たちに良い報告をする。

(取材・文 吉田太郎)
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