beacon

考える力と粘り強さも武器に自分たちが上へ。韮崎撃破の帝京三が山梨県新人戦3位に

このエントリーをはてなブックマークに追加

後半4分、先制点を喜ぶ帝京三高の選手たち

[2.6 山梨県高校新人大会3位決定戦 韮崎高 0-1 帝京三高]

 令和2年度山梨県下高校サッカー新人大会3位決定戦が6日に行われ、帝京三高韮崎高に1-0で勝利。3位で大会を終えた。

 前半はボールを握って相手の隙を伺う帝京三に対し、韮崎が「僕らの大事にしている部分」(今村優貴監督)切り替えの速い攻守で対抗。帝京三がセットプレーやMF白鳥稜汰(2年)の展開、10番MF小林凜太郎(2年)のカットインなどからゴール前のシーンを作れば、韮崎も右サイドで鋭い仕掛けを連発していたMF坂本陸仁(2年)やドリブルの切れ味鋭いFW鈴木斗真(2年)、MF佐藤寧峰主将(2年)のアグレッシブな動きなどで攻め返す。

 韮崎は前半23分に右サイドを抜け出した坂本がそのままシュートへ持ち込み、同アディショナルタイムには鈴木の奪い返しから交代出場のFW小林陽向(2年)が決定機を迎える。一方の帝京三はボールを支配する時間こそ大きく上回っていたものの、この日先発チャンスを得た選手たちがやや積極性を欠いていたこともあって、なかなか韮崎のブロックに入り込むことができなかった。

 帝京三は「プレーモデルをしっかりと作ってあげないといけない」と語る相良和弘監督の下、ボールを大事にしながら見て、考え、相手の状況に応じた戦い方をすることに取り組んでいる。

 主将の左SB安原太洋(2年)も「パワーとか身長とかでは勝てないから自分たちは頭使ってここが弱いからここ行こうとか、そういうところを突けて行けたら勝てるかなと思います」と語るように、選手たちは賢く戦うことで全国王者の山梨学院高との差を詰めたり、山梨を勝ち抜いたりしていく考えだ。

 日常的に求められている個人戦術とチーム戦術。だが、この日はチーム戦術を表現しようとするあまり、シンプルに行くべき局面で難しい動きを選択してボールを失うシーンも多かった。それでも、CB岩川アレクシス駿(2年)がドリブルで空いた中盤へボールを運ぶなど、少ないながらも攻撃を変化させた帝京三は、徐々にトップ下のMF木村颯太(2年)へボールの入る回数が増加。そこからサイドへ散らして小林がクロスやシュートへ持ち込んだ。

 そして後半5分、帝京三は左の小林にボールが入ると、「めちゃめちゃ気持ちが強いです」(相良監督)という安原がオーバーラップからクロス。ニアで受けた木村が左足を振り抜き、DFに当たったボールがゴールへ吸い込まれた。

 先制された韮崎は長身ボランチのMF萩原悠翔(1年)らがパワーを持ってボールを奪い、ゴールへ向かおうとするが、180cmFW細田皐太(2年)やMF大久保拓真(2年)を投入して前のパワーを維持した帝京三は不要なロストが少ない。韮崎は34分に左サイドからゴール前にボールが入ったものの、帝京三CB岩川がカバーしてクリア。アディショナルタイムに坂本の放った右足シュートもGK金子成那(2年)がキャッチしてそのまま試合終了となった。

 安原が「頑張れるっすね。無理が利くっていうか、そういうところがあります」と語る今年の帝京三は、今大会準決勝で山梨学院にPK戦で惜敗。攻撃面で課題を残した一方、安原は「今年は結構粘れるので、そこは守備のところで一個粘るとかできていた」と手応えも口にする。

 判断や技術の部分はまだまだ。それでも、相良監督が「考えてやっているとは思う」というチームはこれから判断、技術の質を上げてライバルたちを上回る。山梨学院の日本一は刺激に。「自分たちもなれるな、と正直思いましたね。自分たちの代でしっかり獲りたいですね」という安原らイレブンが、打倒・山梨学院、過去最高成績の全国16強超え、そして日本一を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2020

TOP