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堀越初の日本高校選抜CB井上は中学時代「憧れ」だった元チームメートに近づき、ともに選抜メンバー入り

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CB井上太聖(堀越高)は日本高校選抜でも無失点にこだわっていく。(写真協力=高校サッカー年鑑)

 中学時代、目標、憧れだったチームメートと日本高校選抜でともにプレーするチャンスを掴んだ。20年度の東京を代表するエアバトラー、CB井上太聖( 3年)は堀越高にとって29年ぶりの選手権出場、そして初となる全国ベスト8に貢献した。

 そして、同校史上初の選手権優秀選手、日本高校選抜選出。負けん気の強さで相手FWを止め、空中戦で上回っていたCBの実力はJ2クラブも関心を寄せていたほどだ。本人は「結果的に自分が選ばれただけで全員が団結して掴んだベスト8だったので、恥じないプレーをしたいと思います。(日本高校選抜23人の中で)一番下のチャレンジャーだと思います」とあくまで謙虚。それでも、相手の重心の逆を突いてのビルドアップや対人守備など、選考合宿から自分のプレーを思い切り良くやってきたことが23名入りを引き寄せたことは間違いない。

 井上にとって日本高校選抜入りは「自分も、去年・一昨年と(日本高校選抜の試合の)動画を見ているような立場だったので、実感が湧かないというのが一番です」という感覚。そのCBは17日、インテリオール(東京)時代のチームメートであるFW野田武瑠(山梨学院高3年)とともに日本高校選抜のウェアをまとい、強化合宿をスタートした。

「まさかここで(野田と)会うとは、というのが一番です」と井上。野田は選手権決勝で技ありの同点ゴールを決めるなど山梨学院のエースとして活躍し、日本一を成し遂げた選手だ。井上にとって、野田は中学時代から目標の選手だったのだという。

「野田は中学校の頃から憧れと言うか、目標の選手だったので、アイツは絶対に全国で活躍するなというのがあったので、それにどうにか食らいつこうとやってきた3年間でした」

 井上は高校進学時、チームメートの野田、DF浦田拓実(山梨学院高3年)とともに山梨学院へ進学しようとしていた。だが、いち早く山梨学院進学を決めた野田、浦田に対し、井上は迷いに迷った末、堀越進学を選択。そこで悩み、考えながら自分の長所を磨き、成長を遂げてきた。選手権で山梨学院と対戦するという目標は惜しくも叶わず。それでも、旧友と揃って高校選抜入りしたことを「高校選抜というところで奇跡的にというか出会えて、自分も思うところがあるというか、自分のことなんですけれども凄いなと思います」と驚いていた。

 この日は3チームに分かれての6対6も実施。井上は野田と同じチームでプレーした。「中学校の時にボランチを組んでいて、野田とは息が合うと自分では思っていたので、今日もいて欲しいところにいてくれるし、そういうのは自分の中では変わっていないなというのがありました」。高校卒業後はともに強豪・順天堂大へ進学。6対6では、今回の合宿前も含めて最も多くコミュニケーションを取ってきたというFWとスムーズにプレーしていた。
 
 堀越での3年間で野田との差は、「中学校の時よりは近づけたというのはあります」。野田に食らいついていくために、堀越で必死になって磨いてきたビルドアップやヘディングなどを日本高校選抜で精一杯出していく意気込みだ。
 
「まずは、自分の持ち味や自分の課題に向き合ってできれば自然と結果に繋がると思います。チーム全体としてゼロで守り切りたい。ヘディング(での得点)は常に狙っています」。堀越の「大事な仲間」と勝ち取ったベスト8、個の力を評価されての日本高校選抜入り。東京を代表するエアバトラーは、目の前の相手に必ず勝つという強い気持ちを日本高校選抜でも持ち続け、目標としてきた選手に負けないくらいのプレーで勝利に貢献する。

(取材・文 吉田太郎)
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