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佐賀東は初の九州新人準V。鹿実の名GKを父に持つCB仁田尾主将「満足せずに成長して行けると思う」

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準優勝校・佐賀東高を最終ラインで支えたCB仁田尾颯真主将

[2.22九州高校(U-17)決勝 国見高 3-0 佐賀東高 島原陸上]

 佐賀東高は予選リーグ初戦で熊本国府高に1-4で敗戦。だが、続く創成館高戦を1-0で制し、快進撃に繋げた。大会初日(20日)の2試合は、「NEXT GENERATION MATCH」(20日)に出場した日本高校選抜MF吉田陣平(2年)を欠く中での戦い。初戦の黒星で追い詰められたが、「陣平が帰って来る前に俺たちであと1試合勝ち切って、望みを繋げて陣平を迎えようという話をして」(CB仁田尾颯真主将、2年)と強い気持ちを持って戦った創成館戦の勝利が大きかった。

 大会2日目、合流した吉田の1ゴール4アシストの活躍や、仁田尾が身体を投げ出して決めたゴールなどで那覇高に7-0で大勝。逆転でブロック1位を勝ち取った佐賀東は、大会最終日の準決勝でプレミアリーグ勢の東福岡高をPK戦で撃破して初の決勝進出を果たした。

 そのチームを最終ラインで支えたのが仁田尾だ。「自分の強みは対人だったり、身体のぶつかり合いだったり、ヘディングだったり。気持ちを持ったプレーが自分の強みだと思います」というCBは、厳しいチェックで相手の起点を潰し、身体を張って突破をストップ。決勝も球際で戦い、独走した国見高FW利根悠理(1年)の決定的なシュートをブロックするなど、奮闘した。

 チームは準優勝。仁田尾は「最後に勝ち切るという力がなかったので、それは今年1年強化していって、自分たちの目標は選手権なので、まずは次のサニックス(3年)へ向けて上げていきたいです。今回の結果では1個取り逃しているので満足せずに成長して行けると思う」と力を込めた。

 その仁田尾の父、博幸さん(現鳳凰高監督)は鹿児島実高2年時の90年度選手権にGKとして出場し、大活躍。PK戦へもつれ込んだ武南高との準決勝では、全3人をストップしてチームを初の決勝へ導いた。3年時の選手権はベスト8で敗れたものの、大会優秀選手に選出され、日本高校選抜にも選出されている。その後、福岡大を経て横浜Fからプロ入りし、市原、FC東京、京都にも在籍した選手だ。
 
 父と比較されることが多いようだが、自分は自分。「周りからは『親父は、親父は』と言われるんですけれども、お父さんからは『オレのことは関係ないから、オマエはオマエでやれ』と言われているので、そこは誇りとして持って、プレッシャーは受けずに自分は自分でやろうと思います」と変に意識しすぎることなく、自分の成長とチームの勝利を目指している。

 元々、AFCパルティーダ(鹿児島)でボランチだった仁田尾がCBを始めるきっかけは、中学2年時に生観戦した選手権(17年度)だという。流通経済大柏高の準優勝に貢献した2年生CB関川郁万(現鹿島)のプレーを目の当たりにし、「関川郁万選手を見て『これは凄いな』と思って。その選手権で関川選手に憧れてCBを始めました」。多くの先輩が進学している佐賀東へ進み、今冬の選手権は怪我明けだったものの登録メンバー入り。新チームでは守備の柱としてチームを支える意気込みだ。

 今冬、「小6から選手権にずっと憧れていて。ずっと夢だったんですよ、選手権が」という舞台でプレーすることはできなかった。だが、来冬こそは父も活躍した選手権で佐賀東の上位進出に貢献することを考えている。

「今年(の佐賀東)は自分の中で攻撃が凄いなと思っています。得点を獲れる選手が多いので、攻撃は好きにやって良いから、自分たちが安定感を持って守備をしなければいけないという気持ちがあります」。九州新人大会準優勝も、満足感はない。仁田尾は同じくキャプテンマークを巻いたMF森田悠斗(2年)とともに先頭に立ってチームを引っ張り、最終ラインで支えて、憧れの選手権で1つでも多くの白星を積み重ねる。

(取材・文 吉田太郎)

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