beacon

「去年のようにやっていたらうまくいかない…」横浜FM前田大然がウイング“新境地”で2ゴール

このエントリーをはてなブックマークに追加

[3.7 J1第2節 横浜FM3-3広島 日産ス]

 横浜F・マリノスを連敗危機から救ったのは、新たなウインガー像を見いだした五輪世代のストライカーだった。J1第2節・広島戦で引き分けに持ち込む2ゴールを決めたFW前田大然は試合後、昨季漂っていた停滞感を打破できた秘訣を語った。

 前田は昨夏、ポルトガル・マリティモでの欧州挑戦に区切りをつけ、J2松本からの期限付き移籍という形で横浜FMに加入。1年延期が決まった東京五輪の代表候補という肩書きもあり、入れ違いで海外に飛び立ったFW遠藤渓太(ウニオン・ベルリン)の穴を埋めるような活躍が期待されていた。

 しかし、前田が昨季の半年間で残した成績は公式戦30試合3得点というもの。不慣れな左ウイング起用が続くなかでチームにフィットし切れず、持ち味のスピードを活かしたカウンターやファーストプレスの担い手としての貢献度は高かったものの、本職である得点に関わるプレーは披露できない時期が続いていた。

 その結果、今季開幕節・川崎F戦(●0-2)では左ウイングに高卒ルーキーのFW樺山諒乃介が抜擢され、ウインガーとしての前田の序列は下がったかのようにみられた。また前田は川崎F戦の後半から2トップの一角で途中出場し、積極的な上下動でチームを活性化するなどポジティブな印象を与えた。続くルヴァン杯仙台戦(○1-0)でも同じポジションで先発しており、今季は最前線が主戦場になるかと思われた。

 ところが、J1第2節の広島戦、前田は昨季苦しんだ左ウイングで先発起用。チームが二度も2点ビハインドに追い込まれる苦しい展開の中で、自らの2ゴールで引き分けに持ち込む活躍を披露した。試合後には「今年はトップとワイド両方やると思うので、どっちで出てもいいように準備はしていた」とウイング起用にも自信を示した。

 そうした飛躍の裏には、横浜FMがこれまで積み上げてきたチームスタイルと、自身が磨き上げてきたキャラクターとのすり合わせがあったという。「マリノスのウイングはサイドに張るけど、僕は張るのがあまり得意じゃない。やりやすいようにやろうとしたことがこういう結果につながった」。そう振り返った前田は次のように語った。

「今季の最初はトップをやっていて、中央の駆け引きをしていたけど、ウイングでも去年のようにやっていたらうまくいかないと思ったので、うまく中に入りながら自分の良さを出そうと思ってやっていた」。

 この日の2ゴールは最終ライン裏への浮き球パスに抜け出す形と、左からのクロスに対してゴール前に飛び込む形。いずれもセンターフォワードとしてプレーする際に求められるような動きだが、最前線でプレーする際の自身の役割をウイングでのプレーにもうまく活かせるようになったといえる。

 そんな前田の働きについては、アンジェ・ポステコグルー監督も「今季、彼が出た試合は良い内容でやってくれている。なかなかゴールに結びつかなかっただけで、川崎F戦も流れを変えてくれたし、仙台戦も良いプレーをしていた。良い状態で続けてやってくれている」と称賛。複数失点で開幕から2試合未勝利が続く横浜FMだが、前田の復調はポジティブな要素となりそうだ。

(取材・文 竹内達也)
★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2021シーズンJリーグ特集ページ
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

TOP