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J練習参加も経験し、さらに進化。帝京長岡のU-17代表候補CB松村晟怜は注目に相応しい選手へ

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帝京長岡高のU-17日本代表候補CB松村晟怜

 注目に相応しい選手になる――。6日に行われた2021プーマカップ群馬で選手権3位の帝京長岡高(新潟)と地元の名門、前橋育英高(群馬)が激突。帝京長岡のU-17日本代表候補CB松村晟怜(2年)は前橋育英のアタッカー陣相手でも余裕のある動きでボールを奪い、そのプレッシャーを全く苦にすることなくボールを繋いでいた。

 元々ボランチやサイドプレーヤーだった182cmレフティーは、ビルドアップが持ち味だ。相手のプレッシャーに対して安易に蹴ってしまうのではなく、他のCBにできないようなビルドアップを意識。J1クラブへの練習参加を経験し、Jリーガーのパスコースの切り方、スピードを経験しているだけあって、「(きょうは)結構パスコースがあった」と振り返る。常に周囲を見渡し、2つ以上の選択肢を持ってボールを的確に動かしていた。

 加えて印象的だったのが、ディフェンス面だ。選手権では、最後スライディングしていれば失点を防げていたようなシーンがあったことを実感。この日は抜け出した相手へ身体を投げ出して止めようとするシーンもあった。

 その上で、自分の間合いで仕掛けて来る相手に対応。ほぼ苦労することなく、ボールを奪い取っていた印象だ。守備面でも凄みが出てきているDFは、「結構落ち着いてやれています。(Jクラブと)スピード感が全然違うので。(寄せ過ぎたりすることなく)自分の距離感でできるようになっています。FWに当たる時は待ったり、見たりする部分が自分は結構あるんですけれども、ステップを踏んでもう1個寄せたり、自由を奪うというところは(練習参加に)行ってから変わりましたね」。選手権に加え、Jリーガーとプレーしたことによって、確実に自分を進化させている。

 CBへ本格転向したのは、昨年の新型コロナウイルスによる活動休止明けから。それが1年足らずでU-17日本代表候補に選出され、選手権でも高精度のサイドチェンジやポゼッション、好守などを発揮し、注目度を高めている。

「この2年生の期間というのは、自分でも思っていた以上に成長できたと思うし、(代表選出やJクラブの練習参加など)色々起きているんで。それに見合ったと言うか、恥のないプレーをしないといけない」。本人は自分の実力よりも注目度が先行している感覚なのだという。だからこそ、「アジア一とか世界一の練習を目標に掲げてやっている」という帝京長岡のトレーニングで、他の選手以上に意識高く日々を過ごしている。

 全体練習後にすぐに着替えて個人トレーニング。ヘディングや筋トレを行い、自宅でもストレッチなどを欠かさずに行っている。スカウトから指摘されたヘディングや尻まわりの強化を徹底。高校生にも増えつつある“和製ラポルト”候補は、目標のプレーヤーへ近づくことを貪欲に目指していく。

 この一年の目標は選手権制覇、そして、注目に相応しい選手になってプロへ行くこと。「自分も行かないといけないという覚悟の部分が出ている」という松村は、プロのレベルを常に意識しながら成長を続け、長岡JYFCと帝京長岡で2学年先輩のMF谷内田哲平(現京都)とFW晴山岬(現町田)、DF吉田晴稀(現愛媛)のようにプロのステージへ駆け上がる。

(取材・文 吉田太郎)

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