beacon

尚志の逸材CBチェイス・アンリが待望の復帰。サッカーを楽しみ、攻守で凄みも表現

このエントリーをはてなブックマークに追加

尚志高のU-17日本代表CBチェイス・アンリは今年、日本一に挑戦

 福島の逸材CBは今、サッカーをできることが楽しくて仕方がないようだ。尚志高(福島)のU-17日本代表CBチェイス・アンリ(2年=FC湘南ジュニアユース出身)が6日、2021プーマカップ群馬の帝京長岡高(新潟)戦で先発出場。準決勝で敗れた選手権福島県予選(10月31日)と11月のU-16日本代表候補合宿参加後、股関節痛のリハビリに時間を費やしてきたアンリは、これが長期離脱からの復帰2戦目だという。「全然、自信満々なので。やられちゃダメですね。絶対にゼロ」と言い切るCBは、強大な壁となって相手の前に立ちはだかり、無失点で試合を終えた。

「怪我が治ってきて、今まで筋トレとか自主練したりしてきましたけれど、大分良くなってきて、試合でも自分のコンディション面が良くなっています」。離脱中に臀部や体幹の強化に取り組んできたというアンリは、スカウト陣が見守る中で相手をねじ伏せるような、また1人で抑え込むような守備。練習してきたという左足のビルドアップの精度も発揮していた。

 アンリは1年時の国体で存在感を示し、選手権も交代出場した。そして、昨年2月にU-17日本代表へ初招集され、「JENESYS2019青少年サッカー交流大会」に出場。代表チームのトレーニングから成長を続け、大会では豪快なヘッドを連発するなどブレイクのきっかけを作った。

 この日、ヘディングについては「(離脱中に)まだジャンプとかやっていなかったので、全然ですね」。同じく得意とするロングフィードも出すことができなかった。それでも、「自分、結構上がるの好きなので、行っても取られる気しないので」というドリブルでの攻撃参加でベンチや関係者たちを湧かせるなど、異質のパフォーマンス。自分のプレーに及第点をつけていた。

 リハビリ中は「みんながサッカーしているのとか見て、結構メンタルとか(ダメージが)来ていました」と振り返る。特に復帰直前は、本当に我慢できないほど。当初の予定よりも復帰は遅れたが、それでも「焦っちゃうとまた怪我をしてしまうので、そこをしっかりと我慢しないといけないと言われていたので、しっかり我慢しようと」。そして、ようやく復帰を迎え、「練習から楽しいんで。最近、楽しいです」。サッカーができる喜びを実感している。

 ピッチから離れていた間に続けていたことが一つある。それは「IQを増やすために」Jリーグや海外の試合を見て、好きなCBから学ぶことだ。好きなCBはリバプールのオランダ代表CBフィルジル・ファン・ダイク。そのファン・ダイクも現在は離脱中だが、「ヘディング強いし、1対1強いし、ロングフィードできるし、全てが良い」という憧れの存在の動画などを見て、自分のプラスアルファにしてきた。サッカーができない間に続けてきた肉体強化と見て学んだ成果を今年、発揮していく。

 昨年度の選手権予選敗退は「2年の時の選手権が一番大事だと思っていたので、そこで負けて本当に悔しかったです」。自身のプレーも不十分で、雰囲気も相手に上回られてしまったと感じている。悔しさで全国大会はあまり見ることができなかった。

 その分の思いも込めて、今年は全国で大暴れする意気込みだ。進路も注目だが、「プロの前にしっかりと仲間とともに全国行って、全国制覇できるようにしたい。(注目は)嬉しいんですけれども、期待に応えないといけないので、しっかりラスト1年間『オレらしさ』を出せたらいい」。現在187cmの身長はまだ伸び続けている。まだまだ粗かった1年前からできることを増やし続けている逸材CBは、「謙虚に」成長を目指して、高校サッカーの歴史に名を刻む。

(取材・文 吉田太郎)

TOP