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[中国新人]作陽が山口を4-0撃破。小柄な技巧派たちが丁寧に繋ぎ、今年の色を表現

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後半28分、作陽高は右SB田中隼哉が決めて3-0

[3.13 中国高校新人大会1回戦 山口高 0-4 作陽高]

 新生・作陽が今年の色も表現して快勝――。第13回中国高校サッカー新人大会が13日、広島県内で開幕した。山口高(山口)対作陽高(岡山)戦は、作陽が4-0で勝利。作陽は14日の準々決勝で瀬戸内高(広島)と戦う。

 今冬の選手権で1勝の作陽が、山口県屈指の進学校・山口に快勝した。序盤から丁寧なポゼッションと切り替えの速さを見せる作陽は7分、10番MF井芹凌成(2年)がDFラインの背後へループパスを送る。山口DFが対応したが、作陽の快足MF西村颯人(2年)が猛然とプレス。すると、バックパスが乱れてオウンゴールとなり、作陽が先制した。

 前半、作陽はボールこそ握っているものの、ターンできそうなところでボールをはたいたり、フリーの状況でミスしたり、判断・精度ともに十分ではなかった。それでも、13分に左サイドから中央へ顔を出したMF馬場裕介(1年)が強烈な右足シュート。28分にはCB山本修也(2年)の左足FKに交代出場のFW小見山翔(2年)が飛び込む。

 また、34分には右サイドで抜群のスピードを見せていた西村が深く切れ込んでラストパス。これを小見山が狙い、36分にも右サイドから中へ割って入ったSB田中隼哉(2年)が左足を振り抜く。連続で決定機を作ったが、いずれも山口GK工藤鼓太朗(2年)が好セーブ。選手権出場19回の伝統校でもある山口は、DF陣が球際で強く行くなど食らいつき、奪ったボールをMF三好穂嵩主将(2年)や国体山口県選抜のMF田中一志(2年)が繋ぎ、良い形でFW山野東吾(2年)に入った際には攻撃をスピードアップしていた。

 だが、その回数もわずか。後半は「相手の立ち位置的に空いているスペースが明確だったので、受け身で使うんじゃなくて、自分から引き出して何をしたいか自分で決めてやれと。そういう意味ではトライする回数が増えたと思います」と酒井貴政監督が振り返ったように、作陽が相手を見ながら積極的な攻撃。ポジショニング良くボールを受けるMF大久保竜磨(1年)や最終ラインのゲームメーカー・山本を中心にボールを動かし、ゲームを支配する。

 そして18分、期待の160cmMF馬場が個人技で山口ゴールをこじ開ける。左サイドからカットインすると見せかけて縦へ。異質のボールコントロールでマークを外した馬場がそのまま左足を振り抜き、2-0とした。

 その後も西村らがゴールへ迫る作陽は28分、山本の右CKを田中がニアで合わせて3-0。さらに33分には再び山本の右CKを今後はファーサイドのCB原田涼汰(2年)が頭で合わせて4点目を奪う。作陽は日本高校選抜に帯同したGK杉本大地(2年)が脅かされるシーンがほとんど無いまま、無失点で勝利した。

 昨年は新型コロナウイルスの影響で強化時間が少なかったことや前線に強さを持っている個がいたことから、シンプルにゴールへ向かうサッカーを軸に置いていたが、中盤に小柄な技巧派が揃う今年は「ボールを繋ぎながら人が動いてゴールに迫る」作陽色の濃いチームになっていきそうだ。

 酒井監督は「今年は隙間、隙間を突きながら緻密にできるんじゃないかと思います」と語り、山本も「足元が高い選手が多いので今年は。丁寧に繋がないと勝てないのかなと思います」と分析する。今大会は1試合1試合が貴重な経験の場。酒井監督は「まだコロナの影響で色々なところには行けないので、こういう大会が成長のきっかけに繋げればなと思います」。決勝まで4試合を勝ち抜き、また成長のきっかけを得て本格シーズン開幕を迎える。

(取材・文 吉田太郎)

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