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取られてもブレずに繋いだ新生・広島観音。存在感示した10番MF小林はキープ、フィードによりこだわるりこだわるこだわる

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広島観音高の10番MF小林真生

[3.13 中国高校新人大会1回戦 広島観音高 1-3 立正大淞南高]

 公立の強豪、広島観音高(広島)は立正大淞南高(島根)の高速プレスに挑戦。序盤は広島県内でなかなか感じられないようなプレッシングの速さに苦戦したが、「取られても取られても繋いでいこうという思いでやっていました」という10番MF小林真生(2年)やMF加川真聞(2年)が徐々にDF間へボールを繋ぎ、前進する回数を増やして行く。

 GK大黒隼人(2年)やDF大下勝生主将(2年)を軸としたDF陣の好守もあって前半は0-0。後半6分に先制点を奪われたが、直後に細かな崩しから相手ハンドでPKを獲得し、加川が同点ゴールを決めた。

 得点直後にPKを献上して勝ち越されたが、強度の高い相手の守備に対してもボールを落ち着かせ、逆手を取り、急所を突くパスを狙い続けた小林を中心に反撃する。「自分自身、プロを目指してやっている。この相手でも取られない選手にならないと全然上にはいけないと思っていたので、自分自身は目立ってやろうと」と語る小林は、後半の負傷で運動量が減ってしまい、精度を欠いた部分も。それでも、広島観音は決定機も作り出すなど、県外の強豪相手に「やれる」ことを示した。

 広島観音へ赴任2年目、監督就任1年目の吉年利聖監督の下、これまでの徹底したボトムアップからの発展的な変化や睡眠時間確保や体作りのための朝練廃止、またサッカーの質向上などピッチ内外から新たな広島観音の構築を進めている。

 06年インターハイ優勝、2度(05、09年度)の選手権8強、近年も17年のインターハイでベスト16入りした広島観音だが、選手権の舞台から遠ざかっている。以前と比べて有力選手がなかなか集まらない状況にもあるようだが、そこから「観音の歴史を変えていかないといけない」(吉年監督)。良いものを受け継ぎながら新たな歴史を創出していく。

 その吉年監督が「サッカー理解とセンスが飛び抜けている」と評する小林を中心に広島突破、全国上位へ挑戦。1年時からAチームでプレーする小林は「小さなことですけれども(パスを)出す足とか、走りの質とかにこだわらないと全国では戦えない。こだわっていきたい」と力を込めた。

 そして、個人としても大きな目標を持つMFは、全国常連・立正大淞南との対戦を「めちゃくちゃ楽しかったです」。また課題を見つけた注目MFは、「攻撃だけでなく、守備の部分でもっとハードワークしたりして、さらに自分の長所であるボールキープとかフィードとかをもっと。ボールキープだったら1試合通して全く取られないとか、フィードも絶対にパスミスしないとかしていかないといけない」と誓った。

(取材・文 吉田太郎)

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