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19年度選手権決勝の再現は壮絶な打ち合いに。静岡学園はスタイルを貫き、4-3で青森山田を撃破!

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静岡学園高は4-3と打ち合って青森山田高を撃破

[3.14 時之栖チャレンジカップ 静岡学園高 4-3 青森山田高]

 14日、時之栖チャレンジカップで19年度選手権王者の静岡学園高(静岡)と3年連続選手権ファイナリストの青森山田高(青森)が対峙したゲームは、超高校級の好ゲーム。壮絶な打ち合いの末に、4-3で静岡学園が劇的勝利を収めている。

 前橋育英高(群馬)、青森山田高、山梨学院高(山梨)、静岡学園と過去4年の選手権王者が一堂に会した時之栖チャレンジカップ2日目。19年度の選手権決勝カードは、試合後に静岡学園の川口修監督が開口一番、「これを選手権の決勝で5万6千の大観衆に見せたかったですね」と語るほどの大熱戦となった。

 先制点は前半5分。静岡学園の中盤アンカーに入ったMF玄理吾(2年)が右へ展開。「一発目は絶対に縦に行こうと決めていたし、速いボールを入れたら何か起こるかなと思いました」というFW川谷凪(2年)が鋭い突破からグラウンダーのクロスを送ると、MF古川陽介(2年)が冷静にフィニッシュ。1点のリードを奪う。

 追いかける展開となった青森山田もストロングで対抗。18分にこの日3本目となったCKを、左からMF藤森颯太(2年)が高精度で中へ。待っていたMF松木玖生(2年)が得意の左足で流し込み、スコアを振り出しに引き戻した。

 だが、「1点目が入った時に『今日はええ試合ができるんじゃないかな』と思った」と川谷が口にした言葉は静岡学園の共通認識。失点から1分後の19分。今度は左で古川が粘ってクロスを上げ切り、こぼれに反応した川谷は「これはトラップしても技術がないし、そんなのできひんからとりあえず打っとこうと」ダイレクトボレー。本人も驚く完璧な軌道がゴール左隅へ突き刺さり、2-1と再び突き放す。

 後半も立ち上がりから両雄はフルスロットル。2分は青森山田。「この冬の期間でかなり筋トレしました。体重も2,3キロ増えましたね」というFW名須川真光(2年)が丁寧なポストプレーで時間を作り、松木は右足でクロス。MF小原由敬(2年)のボレーは一直線にゴールネットへ。2-2。

 7分は静岡学園。ここも右サイドを突破した川谷は「持山に『ニアに絶対行けるから』みたいにハーフタイムに言われていた」と低いボールを合わせると、「キーパーとセンターバックの間に速いボールが来れば行けるかなと思っていた」と口にしたそのFW持山匡佑(2年)は、狙い通りのニアで仕事完遂。3-2。

 9分は静岡学園。MF松永颯太(2年)のパスから、MF菊池柊哉(2年)が打ち切ったシュートは左ポストを直撃し、走り込んだ持山も詰め切れず。16分は青森山田。投入されたばかりのMF小野暉(2年)が左で仕掛け、クロスは中央に届くも、待っていた藤森の目前で静岡学園の左SB野村海翔(2年)が決死のクリア。お互いに攻め合うスペクタクルな展開が続く。

 終盤の35分には青森山田にビッグチャンス。右から絶妙のクロスを藤森が放り込むと、名須川は完璧なヘディングで呼応。ゴールかと思った瞬間、しかし「ああいうプレーは得意なので」と笑った静岡学園のGK生嶋健太郎(2年)は信じられない反応でボールを掻き出し、ガッツポーズを繰り出す。

 折れない常勝軍団。終了間際の38分。青森山田のセットプレーは、この大会でも猛威を振るっていた左SB多久島良紀(1年)の左ロングスロー。この軌道に飛び込んだCB三輪椋平(2年)が頭に当てたボールは、ゴール右隅へゆっくりと吸い込まれる。「3-2の所でしっかり試合を終わらせるというのが理想でしたね」とは川口監督。同点。3-3。

 激闘にピリオドを打ったのは、「フォワードなので自分が点を獲って終わらせようと思っていました」と振り返るストライカー。ラストプレーは40+3分の左CK。野村が蹴ったボールは跳ね返されるも、もう一度野村が中に戻し、松永は軽やかなステップで左を切り裂いてラストパス。持山のヘディングがゴールネットを揺らすと、程なくしてタイムアップのホイッスル。「今までこのチームで新人戦とか何試合もやってきたんですけど、この試合が一番いい試合でした」と川谷。凄まじいシーソーゲームは、4-3で静岡学園が青森山田に競り勝った。

「試合前にも話をしたのは、どう考えてもフィジカルのアスリート能力はウチが劣ると。そこで勝負して、ウチが受けて守備を意識しようというのでは敵わないと思うんです。だから、逆の発想で相手が能力の高さをストロングに出してくるんだったら、オレたちはテクニックで、パスワークとドリブルで上回ると。そこのストロングを出さないとこのゲームはどうにもならないよという話をしていた中で、攻撃的に行っての4得点だったので、それはウチのスタイルも存分に出せたと思います」と川口監督。『失点しても相手より1点多く獲って勝つ』という伝統は健在だ。

 この大会自体の意義も指揮官は強く実感している。「この時期にこういう強度のゲームができたというのは、選手たちも何試合分、何十試合分ぐらいの経験を積めたかなと。リーグ戦が始まる前に、この強度の試合ができるというのは選手も凄く経験になるし、我々スタッフもいろいろなものが見えてくるので、また来年も参加したいなと思います」。時之栖チャレンジカップで繰り広げられた、高校年代最高峰の80分間。サッカーを愛する者にとっても思うように試合を観戦できない時間が続いているが、是非今度は多くの観衆が集まる中で、再び両者の激闘が見られることを期待したい。

(取材・文 土屋雅史)

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