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[MOM3410]静岡学園FW川谷凪(2年)_ガクエンの異端児は走って喋れるスピードスター

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静岡学園が誇るスピードスター、FW川谷凪

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[3.14 時之栖チャレンジカップ 静岡学園高 4-3 青森山田高]

「青森山田は本当にずっと高校でもナンバーワンで、凄くリスペクトもあって、ここでやれたら自分の自信に繋がるかなと思っていたので、その手応えは凄くあった試合だったと思います」。圧巻の1ゴール2アシスト。静岡学園高(静岡)の走って喋れるスピードスター。FW川谷凪(2年=千里丘FC出身)は止まることなく、2021年を駆け抜けていく。

 3年連続選手権ファイナリスト。名実ともに高校年代最強と称されている青森山田高(青森)。そんな難敵を向こうに回し、7番を背負った男が躍動する。まずは前半5分に右サイドを疾走。「一発目は絶対に縦に行こうと決めていたし、速いボールを入れたら何か起こるかなと思いました。アレは自分も今までで五本の指に入るぐらいの良いアシストができましたね」と自画自賛のアシストを記録する。

 さらに同点に追い付かれた1分後の19分。クロスのこぼれ球にいち早く反応。「競るボールが来た時に、『ディフェンダーが弾く所に入ろう』と思って、すぐに下がったら手前に落ちてきたので、これはトラップしても技術がないし、そんなのできひんからとりあえず打っとこうと」ボレーを敢行すると、これがゴールを貫く。

 次のアシストも失点から5分後の後半7分。またも右サイドを突破し、ニアへクロスを送って、FW持山匡佑(2年)の勝ち越し弾をお膳立て。「持山に『ニアに絶対行けるから』みたいにハーフタイムに言われていたので、いつもアイツはマークに付かれているからファーに上げるんですけど、中をほぼ見ずにニアへ上げたら、たまたまいたという感じです」と笑った川谷の思い切りが、チームの3点目を呼び込んだ。

 テクニシャン揃いのチームにあって、その存在は異彩を放っている。「自分は技術で他のヤツに優ろうというのは無理ですし、みんなができないことをやらないとここで生き残れないので、スピードとかパワーとかシュートのパンチ力とかで、静学にないことをやれたらいいなと思っています」と本人もそれは自覚済みだ。

「ストップウォッチをパッと押したらたまたま“5秒9”だったって感じです。だいぶたまたまです」ととぼける、50m走の5秒9という記録を持つそのスピードは絶対的な武器。川口修監督も「いろいろな個性がピッチの中で融合して、それを出し合えば面白くなる。みんな同じ選手じゃ面白くないですし、ウチの中ではちょっと異色の特徴を持っているので、ああいう速い選手、アスリート能力を持った選手がいるとまた面白いですよね」とその個性を評価している。

 大阪出身の川谷は自ら「僕、喋るの凄く好きなんで」と言い切るような明るいキャラクター。ピッチ内外での自己表現力も、目標としているプロサッカー選手には大事な要素。走って喋れるスピードスターが、静岡学園に加える彩りの鮮やかさに要注目だ。

(取材・文 土屋雅史)

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