beacon

ユース取材ライター・森田将義氏が選ぶ「中国新人11傑」

このエントリーをはてなブックマークに追加

MF林晴己(高川学園高2年)は森田氏が“MVP級”と評価

 第13回中国高校サッカー新人大会(広島県広島市)は15日に決勝と3位決定戦を行い、高川学園高(山口)が2年ぶり2回目の優勝を飾りました。新型コロナウイルス予防対策を徹底しながら、繰り広げられた熱い戦い。多くの選手がチームの勝利のため、それぞれの将来のために強みを発揮していました。関西を中心にジュニアから大学生、Jリーグまで精力的に取材する森田将義氏は大会の全3日間を取材。その森田記者に「中国新人11傑」として、印象的なプレーを見せた11人を紹介してもらいます。

森田氏「例年以上に気持ちのこもったプレーが多く、見どころの多い試合が続いたのが今年の中国新人大会でした。激しくやり合うため、上手く行かない場面も目立ったが、ミスをカバーするような想いがこもったプレー、持ち味を何とか発揮しようとする選手が多かったのは好印象。今年の高校サッカーを盛り上げる選手が、たくさん見ることができたのは3日間の収穫でした。今回は数多くいた個性派の中でも、強いインパクトを残した選手を中心に11人を選びました」

以下、森田氏が推薦する11名

GK長野大河(立正大淞南高2年)
横への移動が速く、シュートブロックの速さはピカイチ。3位決定戦の米子北高戦では、相手に押し込まれる展開となったが、決定機を尽く防ぎ、引き分けに持ち込む原動力になった。飛距離十分な左足キックを含め、今年の西日本で上位に入る守護神であるのは間違いない。

DF有吉勇人(瀬戸内高2年)
利き足は右だが、昨年から左足キックにも磨きをかけ、今では左右両足から繰り出すビルドアップと大きな展開がチームの大きな武器に。今大会では攻撃の起点として機能しつつ、本職での守備でも貢献し、田中健二郎監督に「3日間で一番伸びた」と言わしめた。

DF岩本剛気(立正大淞南高2年)
下級生の頃から身体能力の高さを活かした跳ね返しが評価されてきたCB。怪我を含めて昨年一年間苦しんだことにより、「誰かのためにというのが強くなった」ことで精神的に逞しくなりつつある。試合通じて集中力を切らさず、無理な体勢でも確実に攻撃を跳ね返す姿は頼もしく、南健司監督も「かなり良くなっている」と高評価。

DF山本修也(作陽高2年)
左足から繰り出すロングフィードと正確なパスで攻撃のスイッチを入れる作陽らしさ満載のCB。選手権は大会直前の怪我で欠場となったが、今大会は酒井貴政監督が「いるのといないのとでは全く違う」と口にする働きを披露。身体能力の向上に伴い、守備での貢献度も増している。

DF伯野航太(瀬戸内高2年)
武器は他を圧倒する走力で、「短い距離もだけど、長い距離もチームで一番」(田中健二郎監督)。スピードを活かしたスプリントを繰り返し、中学時代からのチームメイトであるFW梁俊虎(2年)と共に左サイドを切り崩す。決勝ではカウンターからゴールもマーク。

MF小林真生(広島観音高2年)
初戦敗退で終わったが、確かな爪痕を残した。「サッカーセンスと理解力がある」(吉年利聖監督)プレーメーカーで、今大会は本調子ではなかったものの、落ち着いたボールキープと正確なキックで格上である立正大淞南高相手にキラリと光る物を見せた。

MF北健志郎(高川学園高2年)
左足から繰り出す長短のパスで攻撃のリズムを作るプレーメーカー。相手のプレスの逆をとる動きが目を惹き、今大会では余裕のあるプレーで攻撃のスイッチを入れた。昨年までと比べ、守備での逞しさが増したのも好印象だった。

MF林晴己(高川学園高2年)
切れ味鋭いドリブルとアイデア溢れるプレーは以前から定評だったが、今年は仕掛ける場面とシンプルにプレーする場面の使い分けが向上。仕掛ける際は「ボールを失っても、切り替えを速くすれば良い」と思い切りの良さが増し、より相手に怖い選手となった。その活躍ぶりは今大会のMVP級だった。

FW福田秀人(米子北高1年)
「せこい選手」という城市徳之総監督の言葉は、褒め言葉だ。決してスピードが無ければ、身長があるわけでもない選手だが、相手と上手く駆け引きをして逆をとるのが上手く、意表をついたプレー、働きができる。準決勝以降は果敢な裏抜けを繰り返し、ゴールに迫る動きも光った。

FW佐野航大(米子北高2年)
FC町田ゼルビアの兄・佐野海舟は回収力が売りだったが、弟はテクニックの高さが売り。これまでは持ち味を上手く発揮できずにいたが、今年に入ってからプレーに力強さが増し、相手にとって怖い選手になりつつある。「トップらしいゴリゴリもできて、トップ下らしいテクニックも出していきたい」。

FW佐野竜眞(瀬戸内高2年)
大会で躍動した瀬戸内の中でも存在感はトップクラス。「スピードとパワーは誰よりもずば抜けている」と胸を張る破壊力十分のアタッカーで、シュートへの積極性も光った。右サイドバックでプレーした昨年の経験を活かし、守備での献身さが増しているのも魅力。

執筆者紹介:森田将義
 1985年、京都府生まれ。路頭に迷っていたころに放送作家事務所の社長に拾われ、10代の頃から在阪テレビ局で構成作家、リサーチとして活動を始める。その後、2年間のサラリーマン生活を経て、2012年から本格的にサッカーライターへと転向。主にジュニアから大学までの育成年代を取材する。ゲキサカの他、エル・ゴラッソ、サッカーダイジェストなどに寄稿している。

TOP