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公立勢に負けず、私学勢も盛り上げて“広島復活”へ。中国準Vの瀬戸内は夏冬全国での活躍狙う

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夏冬広島制覇、全国での活躍を狙う瀬戸内高

[3.15 中国高校新人大会決勝 高川学園高 1-1(PK4-3)瀬戸内高]

「広島が今、低迷期なので広島を変えるために何とかしたい。私学が頑張って」

 瀬戸内高(広島)の指揮を執る田中健二郎監督は、かつての王国・“広島復活”のためにも、全国舞台で記録、記憶に残る戦いをするという意気込みだ。広島県勢は08年度の選手権で広島皆実高が日本一。だが、10年度以降の選手権11大会で初戦突破はわずか3度。18年度大会で初出場ながら3位に入った瀬戸内を除くと、ベスト16にも残ることができていない。

 かつて県立の鯉城高(現広島国泰寺高)や国立の広島大附高、私立の修道高、山陽高が選手権日本一。その後、70年代から90年代初頭にかけて広島国泰寺高や広島県工高、近年は広島皆実や広島観音高といった公立勢が中心となって広島県の高校サッカーを引っ張ってきた。

 一方、近年の全国大会では青森山田高(青森)や山梨学院高(山梨)、静岡学園高(静岡)、前橋育英高(群馬)といった各都道府県の私学勢が活躍。同じ私学の瀬戸内はインターハイ予選4連覇や選手権3位、インターハイ8強などの結果を残しているが、まだ広島で突き抜けた存在ではなく、全国上位を追う側のチームだ。田中監督は県内の公立勢の活躍、頑張りをリスペクトした上で、私学勢が競い合いながら広島をより勢いづけたいという思いを持っている。

 前評判の高かった今回の中国新人大会で瀬戸内は、相手を見ながらのポゼッション、オープン攻撃、またハードワークの部分でも強さを示した。田中監督が「この3日間で一番良くなった」と評したCB有吉勇人(2年)や10番MF佐野竜眞(2年)、高速左SB伯野航太(2年)、MF江川楓(1年)ら各選手も奮闘。作陽高(岡山)や米子北高(鳥取)を破って決勝進出した。

 高川学園高(山口)との決勝では指揮官が「全くできなかったですね」と首を振ったように、疲労と相手の鋭いプレスの前に慌ててしまった面もあり、思うようなサッカーをすることができなかった。だが、今後への期待感を抱かせる準優勝。課題を改善し、キーマンの一人であるMF長谷川大貴(2年)らのコンディションが上がってくれば、より攻守の質も上がってくるだろう。

 PK戦で惜敗した決勝直後、伯野は「先生もさっき話をされたように、『とにかく練習するしか無い』と思っています。どこよりも練習をやって、『自分たちが一番やったんだぞ』という自信を持って臨めたら良い試合ができるんじゃないかと思います」ときっぱり。準優勝に終わった悔しさもエネルギーにして練習を重ね、自信を深め、インターハイや選手権で必ず勝ち上がる。

(取材・文 吉田太郎)

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