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[イギョラ杯]野澤零温ハットトリック!梶浦勇輝4ゴール!FC東京U-18は9発大勝!

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FC東京U-18國學院久我山高

[3.20 イギョラ杯予選リーグ FC東京U-18 9-2 國學院久我山高]

 第30回イギョラ杯 国際親善ユースサッカーが20日に都内で開幕した。予選リーグC組のFC東京U-18國學院久我山高(東京)戦は9-2でFC東京U-18が大勝している。

 都内のチームということもあり、対外試合の経験も限られる中でお互いが迎えた大事な実戦経験の舞台は、派手な一発で幕を開ける。前半4分。左サイドで前を向いたFC東京U-18のFW野澤零温(新3年)は、「あんなに良いコースに行くとはビックリしました」と自身も驚く豪快なミドルをゴール右スミにグサリ。1点をリードする。

 ただ、以降は國學院久我山も、持ち前のパスワークとドリブルを織り交ぜながら反撃。MF加藤圭裕(新3年)、MF鷹取駿也(新2年)、MF 森次結哉(新3年)の中盤トライアングルがボールを引き出しつつ、右にMF高橋作和(新2年)、左にFW安田修都(新3年)を配した両翼の仕掛けからチャンスを窺うと、FC東京U-18もDF石井玲於奈(新3年)とDF森田翔(新3年)のCBコンビを中心に守備で応戦。20分には森次が左から折り返し、高橋のシュートはFC東京U-18の左SB大迫蒼人(新3年)にブロックされるも、惜しいシーンを創り出す。

 そんな流れを一変させたのは、35分のFC東京U-18。自ら高い位置でボールを奪ったMF谷村峻(新3年)が、GKの位置を確認して放ったループミドルは、綺麗な軌道を描いてゴールネットへ到達。続く35+2分にも、右から野澤が入れたグラウンダーのクロスを「今年はゴールというのが1つの目標というか、意識を変えた部分」と話すMF梶浦勇輝(新3年)が3列目から飛び出してプッシュ。前半は3-0で終了した。

 ハーフタイムに「チームとしては攻撃も守備も全体を通してあまりうまく行っていなくて、『もう少し揃えていこう』という話を個人個人でしていました」と野澤が明かしたFC東京U-18は、後半2分に追加点。投入されたばかりのMF渡邊翼(新1年)のパスから、梶浦が放ったシュートは國學院久我山GK村田新直(新3年)が鋭い反応で防ぐも、ポストに当たったこぼれを野澤が押し込んで4点目。

 國學院久我山も16分、CF小松譲治(新3年)が自ら獲得したPKを沈めて1点を返したものの、1分後の17分には大迫の左クロスを野澤がスルーで流し、渡邊のゴールで5点目。23分にも大迫の右CKを、途中出場のCB土肥幹太(新2年)が頭で折り返し、梶浦が冷静に6点目。25分にも谷村が左足で巻き込む右クロスを上げ切り、野澤はヘディングでハットトリック達成。スコアは7-1に。

 さらに28分には、「中央でもらってドリブルで運んで、うまく点が獲れたかなと思います。結構気持ち良かったです」という豪快なゴールを梶浦が奪い、こちらも野澤に続いてハットトリックを記録すると、33分にも再び野澤が低く蹴った右クロスから、梶浦が自身4点目となるゴールをきっちり押し込み、9-1。予想以上の点差が付いてしまう。

 最後は「とにかく点を獲りたい」と言い切るストライカーが一矢。35+3分の國學院久我山は、右からMF池上征司(新3年)が蹴ったCKに、「自分はそんなにコーナーからのヘディングは得意じゃないんですけど」という小松が高い打点で叩いたヘディングは、ゴール左スミへ吸い込まれる。國學院久我山も意地を見せたが、「『ここは蹴る』とか『ここは繋ぐ』という部分をみんなで意思統一できたので、その点に関しては良いゲームができたかなと思いますけど、2点ともセットプレーで防げた失点だと思うので、そこはまだまだ改善点がありますね」と梶浦も収穫と課題を挙げた70分間のファイナルスコアは9-2。FC東京U-18が大勝を飾った。

 この時期の選手に求めているものを問われ、「ゲームに対するエネルギー、サッカーに対するエネルギーですね。トレーニングで求めるのは普通に技術とか判断とかですけど、ゲームになった時に内から湧き出てくるものをサッカーに出せるようになってくるか。出せるようになる選手が何人出てくるかですね」と例年通りの回答を口にしたのは、FC東京U-18を率いる中村忠監督。だが、この“エネルギー”をどう出せるようになるかが、このチームで確固たる地位を築くには何より大切な要素だ。

 2021年はどんなチームになっていきそうかという質問に対しても、「まだ弱そうだなって(笑) でも、去年もこの時期はこういう部分がありましたから。この子たちは変われるので、それは僕らの責任でもあるし、もちろん本人の取り組みでも変わるし、別に今が悪くても半年後とか1年後に成長していればいいんです。たぶん去年もそんな話をしていると思うんですけど」と指揮官の言動に常に一貫性があることも、このグループの大きな強み。選手たちは明確な基準を意識しつつ、自身の成長に取り組むことができる。

「チームとしてはプレミアリーグを戦っていくので、全員の力で優勝を掴んでいきたいなと。もちろんクラブユースの日本一もそうですし、優勝すれば自分たち全員の評価も上がりますし、決勝のような舞台を戦うことで自分たちも成長できるので、そういう所で戦っていかなきゃいけないと思います」(梶浦)。個の成長とグループの成長。FC東京U-18は今年も貪欲に“二兎”を追う。

(取材・文 土屋雅史)

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