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レビュー実施も修正なし…DF小川諒也“ノーハンド”判定は今季初のレア事例:J1第6節VARまとめ

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DF小川諒也のハンドは取られず、同点につながりかねないピンチを免れたFC東京

 J1リーグは20〜21日、第6節9試合を各地で行った。今季から再導入されているビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)によるレビューはFC東京ベガルタ仙台戦での一度のみ。PKに関わるハンドの有無についてオンフィールド・レビューが行われたが、判定は修正されずにノーファウルのままとなった。

<第1節 3回>
<第2節 2回>
<第3節 3回>
<第4節 なし>
<第5節 4回>

■モニター確認の末、判定は覆らず…

 21日に行われたFC東京対仙台戦では、オンフィールド・レビューを実施しながらも判定は変わらないという今季初の珍しい事例が起きた。

<事例>J1第6節 FC東京 2-1 仙台 @味スタ(PKに関する判定)

 FC東京が2-1でリードして迎えた後半15分、左サイドからのハイクロスを敵陣ペナルティエリア内で受けた仙台DF真瀬拓海が強烈なシュート。このボールがブロックに入ったFC東京のDF小川諒也の膝に当たり、跳ね返ったボールが今度は小川の肘のあたりに当たった後、枠を外れてゴールラインを越えた。

 本来であれば仙台の右コーナーキックで再開されるところだが、ここでVARが介入。2分弱にわたって山本雄大主審とVOR(ビデオ・オペレーション・ルーム)が交信した結果、主審がオンフィールド・レビューを行うことになった。

 映像では、シュートブロックのため倒れ込んだ小川の左肘にボールが当たっていることが確認された。すなわち、主な争点は手や腕にボールが当たったかどうかという接触の有無ではなく、これがハンドの反則にあたるかどうかだ。

 現行の競技規則では「(ボールに触れた)競技者の手や腕が肩の位置以上の高さにある」場合はハンドにあたり、小川の腕の位置はこれに該当する。またこの規定には「競技者が意図的にボールをプレーしたのち、ボールがその競技者の手や腕に触れた場合を除く」という例外条項が設けられているが、シュートブロックは「プレー」には該当しないため、この条項により免責される可能性は低い。

 ところが山本主審は約2分間にわたって慎重に映像を確認した結果、自身の原判定を覆すことなく、仙台のコーナーキックでの再開を指示した。

 実は競技規則には“ハンドにはあたらない”要件も明記されており、そこには「競技者自身の頭または体(足を含む)から直接触れる」「手や腕は体の近くにあるが、手や腕を用いて競技者の体を不自然に大きくしていない」と記載。シュートブロックのため身体を傾けていた小川のイレギュラーな体勢に鑑みて、これに即した解釈をした可能性もありそうだ。

 なおVARは通常、主審が下した「はっきりとした明白な間違い」のみに介入するため、レビューを行ったのに判定が覆らないという結果は珍しい。また、介入にそうした高いハードルを設けている以上、判定が覆らないような場面の介入はルール上ふさわしくないという見方もできる。

 ただ、難しいのはもう一つ「見逃された重大な事象」という介入要件もあることだ。VARは主審が現認できなかった場面を再確認させるという役割も持ち合わせているが、今回のケースはそうした要件のもとで介入が行われた結果、判定が覆らなかったとも考えられる。

担当主審:山本雄大
VAR:池内明彦
AVAR:窪田陽輔

■2021年VAR統計(第6節まで)
レビューで判定が修正された回数:12
レビューしたが原判定が支持された回数:1

オンフィールドレビュー:7
VARオンリーレビュー:6

①得点に関わる事象
ゴールが認められた回数:2
ゴールが取り消された回数:6

オフサイド(ゴール/ノーゴール):2/3
ハンド(ゴール/ノーゴール):0/1
その他ファウル(ゴール/ノーゴール):0/2

②PKに関する事象
PKが与えられた回数:3(成功3、失敗0)
PKが取り消された回数:1
PKが蹴り直しとなった回数:0

エリア内外(PK/取り消し):1/1
ハンド(PK/取り消し):1/0
その他ファウル(PK/取り消し):1/0

③レッドカード
レッドカードが出された回数:0
レッドカードが取り消された回数:0

④人違い
人違いでカードの対象が変わった回数:0

(文 竹内達也)
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