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「ADMIRAL is back!」…設立108年目を迎えたブランドの新たな船出

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今春からフットボール市場に参入する『Admiral』。左から山口悟氏、野口純也氏、根鈴千陽氏、小玉翔平氏

 フットボール市場では“無名”なのかもしれない。しかし、その歴史は100年以上を誇る。英国発の革新的なスポーツブランド『Admiral』が今春、フットボールカテゴリーをリスタートさせる。今回は、新たな挑戦に立ち向かう商品担当者の野口純也氏、山口悟氏、根鈴千陽氏、小玉翔平氏に集まって頂き、『Admiral』の歴史を紐解きつつ、今後の展望などを聞いた。

『Admiral』は第一次世界大戦時の1914年にイギリス海軍(NAVY)の制服ブランドとしてスタート。3本線に丸がついた印象的なロゴマークは、『Admiral』の意味となる海軍提督、その袖章を表している。縫製やアパレルの技術を培うと、1936年に英国においてサッカーウェアーをはじめとしたスポーツウェアーの展開を開始した。

 1970年代には他ブランドに先駆け、ウェアーの機能のみならずファッション要素を取り入れ、70年代~80年代にかけてマンチェスター・ユナイテッドトッテナムなどの英国のメジャーナショナルクラブやイングランド代表のオフィシャルスポンサーとして契約。1982年スペイン大会では『Admiral』のユニフォームを身にまとったイングランド代表が躍動し、1次リーグ突破を果たした。

 80年代には日本にも展開されるようになり、市立船橋高のユニフォームを提供するなど、サッカーブランドとしての地位を確立し、サッカーファンには馴染みのあるブランドの一つとなった。


70年代~80年代にかけてイングランド代表のサプライヤーを務め、ケビン・キーガンやブライアン・ロブソンらが『Admiral』のユニフォームを着用して世界大会を戦った

 あれから30年近くが経った――。100年以上の歴史があり、イングランド代表やマンチェスター・Uのサプライヤーを務めた経験がありながらも、「若い方からは『Admiralって何ですか?』と言われてしまう」(野口氏)のが現状だという。現在30歳の小玉氏が「小中学生の頃にサッカーをやっていたけど、『Admiral』のことはほとんど知らなかった」と振り返ったように、日本サッカーが劇的な変化を遂げた1990年代~2000年代以降、『Admiral』ではフットボールカテゴリーがほぼ展開されていなかったこともあり、若い世代での知名度は決して高いとは言えない。

 フットボールカテゴリーが展開されていなかった期間は長い。しかし、2010年から展開するゴルフ市場では認知度が上がり、「プロ選手と契約してサポートしている」(野口氏)ように、2017年賞金ランキング2位となった小平智のマネジメントも担当。海外ツアーに帯同する小玉氏は、「デビュー当時からサポートし、今ではアメリカの第一線で活躍する選手です。『Admiralというブランドと一緒に成長できた』と言ってもらい、選手とブランドが両軸で成長できた」ことを実感している。今後も「選手とともに」との思いはグループに共有されているように、「選手をサポートしながらブランドも一緒に成長」(山口氏)することは『Admiral』の一番の根幹となっている。

 フットボールカテゴリーではなく、他カテゴリーで成果を挙げてきた。しかし、縫製技術やマネジメント力などを向上させ、確かな足跡を残してきたからこそ、次なる展開が視界に入ってくる。「『Admiral』を総合ブランドへと成長させていきたい」(野口氏)だけでなく、「今後グローバルな展開を考えたとき、多くの国で圧倒的な人気を誇るサッカーは、コンテンツとして欠かせない。改めてサッカーを本格的に我々の中でリブランドしよう」(山口氏)との思いが強まったことで、フットボール市場への参入を決断する。

「2021 SPRING&SUMMER COLLECTION」では1982年スペイン大会でイングランド代表が着用したユニフォームの復刻版である“80’s ゲームシャツ”などを販売

 立ち上げとなる「2021 SPRING&SUMMER COLLECTION」の目玉の一つが、1982年スペイン大会でイングランド代表が着用したゲームシャツの復刻版。「かつて、イングランド代表のサプライヤーをしていたことを、若い世代に知ってもらいたい意味合いも込めた」(野口氏)というシャツの素材は、80年代の主流のブライトニットを使用し、「あえて昔の感じを出して忠実に再現」(山口氏)するだけでなく、現代に対応した機能も搭載された。“80’s ゲームシャツ”を含めた立ち上げの商品は「15品番と絞られた」(山口氏)が、今後はプロモーションを強めながら市場を拡大していこうとしている。

 まだ、動き始めたばかりだ。「長い歴史があるブランドだが、スポーツブランドとしてはまだまだ発展途上」(山口氏)、「『Admiral football』はほぼ無名」(根鈴氏)と現状を受け止めつつも、その志は高い。「まずは日本国内においてのサッカーブランドという認知度を高めていきたい」(山口氏)、「誰もが知っているサッカーブランドにしていきたい」(根鈴氏)との思いを胸に、『Admiral』が新たな船出を迎える。

【写真特集】イングランド代表やマンチェスター・Uにトッテナム…黄金期を復活・進化させた「Admiral football」(20枚)

▼2021 SPRING&SUMMER COLLECTIONの詳細
https://www.admiral-gb.com/collections/all-items-soccer-men

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(取材・文 折戸岳彦)

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