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“鳥かご”に刺激受けるDF山根「良い見本がたくさん」A代表デビュー弾には恩師からも祝福

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DF山根視来(川崎F)

 鮮烈だった日本代表デビュー戦での初ゴール、DF山根視来(川崎F)のもとにはあれから多くの連絡が届いていた。「すごく久しぶりの方からもいただいたし、いろんな形で関わってくれた指導者の方からメッセージをいただいたのでうれしかった」。その中には湘南ベルマーレ時代の恩師であるチョウ・キジェ監督(現京都)の言葉もあったという。

 日韓戦から2日が明けたこの日のオンライン取材、山根は報道陣からチョウ監督とのやり取りについて問われると、試合後にメッセージを受け取っていたことを明かした。「堂々とプレーしていたということで、褒めていただいたのでうれしかった」。恩師からの言葉を思い返し、表情をゆるませた。

 昨季からJリーグ王者の川崎Fでプレーしている山根だが、日韓戦という注目度の高い国際試合で結果が残せたのは、チョウ監督のもとで過ごした湘南時代の影響も大きかったと考えているようだ。

「プロになってからずっと、海外のサッカーの強度はこうだというふうに教えられてきた」。湘南での4年間をそう振り返った山根は「そのイメージを持ちながらゲームができたので、そこの部分は湘南でやっていたことが間違っていなかったんだとあらためて思った。自分の中でそこがうれしかった」と恩師への感謝も口にした。

 もっとも、そうした海外の強度、すなわち海外組との違いに話が及ぶと、冷静な言葉を発した。

「数字としては残せたけど、まだまだ練習とか一緒にやっている中で差を感じる。世界トップの基準でやっている選手を相手に練習をしていて、まだまだ遠く及ばないと思っている」。そう現状を見つめる山根は「だからこそ、国内でも自分はもっと基準を上げてやっていかないといけないということのほうが多い」と力説した。

 そんな山根がたとえ話に使ったのは、ボール回し、いわゆる鳥かごでの一幕だった。技術の高い選手が並ぶ川崎Fでの経験はたびたび口にしているところでもあるが、今回は違った切り口からの分析だった。

「こういうところで急に集められてサッカーをしていると、たとえばボール回し一つをとっても、冗談まじりでも『触った、触っていない』という主張のところは最初からどんどん出していかないといけない。初招集は国内組が多いので気を遣う部分も最初はあったのかもしれないけど、海外組の姿勢を見てみんなも吸収していた。そういう面で、代表で何をしにきたのかを表現するのに良い見本がたくさんいる」。

 そうして受けた刺激は所属チームに戻ってからも、さらなる成長への礎としていく構えだ。

「サッカーの映像を見るだけでも海外のスピードはめちゃめちゃ速いし、ボールが切れる場所がないとイメージしていた。でもその場に立って経験してみるとこれだけ違うのかというのが刺激になっている。この基準は忘れずにやっていきたい。いまどうこうしたいはないけど、活動が終わった後に自分がどう思うか楽しみです」。

 その前にまずは、カタールW杯アジア2次予選モンゴル戦(30日・フクアリ)が待っている。

 日韓戦の出場選手たちは前日26日の練習を軽めに終えており、この日から本格始動する予定。W杯に繋がる大事な試合に気持ちを向けた山根は「点を取ること、アシストすることが一番目につくと思うし、わかりやすい結果だと思う。出ている試合は両方狙っている。大きい舞台なので、チャンスのあるところに入って行けたら」と意気込みを語った。

(取材・文 竹内達也)

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