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日本高校選抜が有終の美。活動ラストゲームでU-18日本代表候補を3発撃破!!

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1本目34分、右SB長田京兵(市立船橋高)の先制ゴールを日本高校選抜が全員で喜ぶ

[3.27 練習試合 U-18日本代表候補 1-3 日本高校選抜 Jヴィレッジスタジアム]

 27日、U-18日本代表候補と日本高校選抜が練習試合(45分×3本)で激突。日本高校選抜が3-1で勝利した。

 U-18日本代表候補は23年U-20ワールドカップを目指し、今回のJヴィレッジ合宿で本格始動したチーム。MF松木玖生(青森山田高)やFW木原励(京都橘高)、CBチェイス・アンリ(尚志高)といった高体連の注目選手に加え、すでにJ1デビューを果たしているMF中村仁郎(ガンバ大阪ユース)や早生まれでJリーガーのFW鈴木輪太朗イブラヒーム(徳島ヴォルティス日大藤沢高出身)らが名を連ねている。

 一方の日本高校選抜は、第99回全国高校サッカー選手権の優秀選手から構成されたメンバー。例年春に行われてきた海外遠征が中止となったため、今回のJヴィレッジ合宿が21年の日本高校選抜としては最後の活動だ。関係者の尽力で組まれた“集大成の一戦”に感謝し、U-18代表候補に挑戦。選手権得点王のFW安斎颯馬(青森山田高)や選手権で山梨学院高(山梨)を日本一へ導いたGK熊倉匠、下級生の注目MF宇野禅斗(青森山田高)やFW福田師王(神村学園高)らが勝利と年代別日本代表への個人昇格を目指して戦った。

 立ち上がり、「自分たちは日本代表として高校選抜と戦う。プライドを持って戦おうとなっていた」(中村)というU-18代表候補が高校選抜ゴールに襲いかかった。1分、MF甲田英將(名古屋グランパスU-18)が抜け出して決定機を迎えると、12分には敵陣で相手のミスパスを奪い、FW坂本一彩(ガンバ大阪ユース)の一撃がゴールを脅かす。

 だが、いずれも高校選抜GK熊倉がファインセーブ。U-18代表候補は14分にも落ち着いて相手のマークを外していたMF吉田温紀(名古屋グランパスU-18)のスルーパスからFW木原励(京都橘高)が右足を振り抜く。さらに16分には、右サイドから仕掛けた中村の折り返しを坂本が狙い、こぼれ球を木原が詰めるが、決め切ることができない。

 U-18代表候補に背後を取られ、甲田のドリブルなどに苦戦しながらも、序盤を無失点で切り抜けた高校選抜は守備からリズム。ベンチから「良いポジションになってきたぞ!」と声が飛んでいた。そして、アンリの高さや強さなどに跳ね返されていた攻撃も徐々に仕掛けの回数を増やしていく。ボールを繋いだり、背後を狙うアクションが増え出すと34分、左サイドでボールを受けた安斎がDFとの1対1を制してクロスを上げる。そして相手DFの小さなクリアを右SB長田京兵(市立船橋高)が打ち抜き、先制した。

 この日、攻守でスピードを示していた長田は、満面の笑みで自陣のベンチへ。そしてチームメートたちとハイタッチを繰り返した。一方、リードを奪われたU-18代表はMF遠山悠希(京都サンガF.C.U-18)や中村のミドルシュートが枠を捉えるが、いずれも高校選抜GK熊倉が反応。逆に安齋が個の力でシュートを打ち込むなど攻め返し、1本目は高校選抜が1-0で終えた。

 2本目は高校選抜が9名を入れ替えたのに対し、U-18代表候補は2名をチェンジ。高校選抜は福田が切り返しからシュートを狙い、安齋の折り返しをMF川上航立(帝京長岡高)が狙う。U-18代表候補が圧力を強め、坂本の強烈な左足シュートがポストを叩く。だが、各選手がハードワークを怠らず、一体感ある戦いを見せる高校選抜は譲らない。

 逆に19分には、MF荒井悠汰(昌平高)が右サイドでのパワフルな突破でベンチを沸かせる。そして、前方でこぼれたボールを拾ってさらに前進し、シュートを打ち込んだ。U-18代表候補は飲水タイムで9人をチェンジ。MF森田大智(大津高)らがボールに多く絡みながら攻め、連動した動きを見せるシーンもあったが、なかなかその数を増やすことができない。終了間際に敵陣PA付近でのインターセプトからMF藤井海和(流通経済大柏高)が狙ったシュートも得点には結びつかず、1-0のまま2本目は終了した。

 3本目は高校選抜が45分間の中で20人を起用。その高校選抜は3分、相手GKのミスを逃さなかった福田が入れ替わる形で抜け出し、左足シュートで2-0と突き放す。一方、3-4-3システムで攻めに出たU-18代表候補は鈴木のシュートが高校選抜DFにブロックされるなど1点が遠かった。だが26分、鈴木が右サイドへ開いてボールを受けると、空いたスペースへ飛び出したFW根本鼓太郎(東京ヴェルディユース)が持ち込んで右足シュート。このこぼれ球を松木が身体を投げ出して押し込み、1点を返す。

 U-18代表候補は一気に同点を目指すが、熊倉が「高校選抜の活動を通して勝利があまりなかったので、全員で勝ちに行こうとテーマで決めて、1本目から3本目まで全員で集中して戦うことができた」と説明したように、高校選抜はラストゲームで勝利への思いが伝わるような戦いを見せる。

 個々が身体を張り、相手よりもわずかに速くカバーするなど1点リードを続けると45分、右サイドでのコンビネーションでSB内田陽介(青森山田高)が抜け出してラストパス。これをニアで受けたMF永吉飛翔(神村学園高)が右足で右隅に突き刺して勝負を決定づけた。高校選抜の蒲原晶昭監督(佐賀東高)は「今回、ラストゲームだったので集大成として、(高校サッカー部員の)代表として絶対に勝とうということで臨みました。有終の美を飾ってくれたという点では良かったと思います」と選手たちを賞賛。欧州遠征を実施することはできなかったが、活動のたびに成長を見せていた高校選抜が全員で勝ち取った白星を喜んだ。

(取材・文 吉田太郎)
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