beacon

「一体感」持って成長続けた日本高校選抜が最終戦で“代表候補”に勝利。蒲原監督は将来の活躍を期待

このエントリーをはてなブックマークに追加

3本目45分、日本高校選抜FMF永吉飛翔(神村学園高)がゴール

[3.27 練習試合 U-18日本代表候補 1-3 日本高校選抜 Jヴィレッジスタジアム]

 21年の日本高校選抜にとって「集大成」の戦いは、勝利という最高の形で終わった。蒲原晶昭監督(佐賀東高)は「(チームは)活動を重ねるごとに良くなり、ベンチも含めて、見ている人にも分かるくらいの一体感があったと思います」。例年であれば、日本高校選抜は春に海外遠征を行い、デュッセルドルフ国際ユース大会(ドイツ)に出場。今年は国内のみの活動となったが、最後まで個人で、チームで貪欲に成長しようとしていた選手たちを指揮官は労った。

 2月の「NEXT GENERATION MATCH」は川崎F U-18に1-2で敗戦。年下の高校1、2年生の相手に敗れる屈辱を味わった。だが、初出場したデンソーカップチャレンジ(3月初旬)では、点差が開く可能性も十分にあった中で大学生のトッププレーヤーたち以上と言えるような頑張り。年上のプロ予備軍相手に堂々の戦いを演じて見せた。

 関西選抜と3-4の打ち合いを演じ、優勝した関東選抜Aと1-1で引き分けて関係者たちを驚かせた。加えて、交流戦では中国・四国選抜に7-1で大勝。「この年代の選手たちは経験で成長が加速していく」と蒲原監督がいうように、彼らは大学生との厳しい戦いを個人、チームの成長に繋げてきた。

 何より大きかったのが、チームとしての一体感だ。蒲原監督は「会話が増えましたね」と頷いていたが、やや大人しかったチームが明らかに変化。GK熊倉匠(山梨学院高)を中心に選手間ミーティングも行い、「なかなか上手く行かなかったけれど、チームとして一体感が出てきた」(熊倉)。それぞれが意見を出し合い、良い準備をして、出場機会を得た選手たちが個の特長とハードワークでチームに貢献していた。

 活動最後の対戦相手はU-18日本代表候補。選手たちのこの一戦に懸けるモチベーションはとても高かったようだ。これまで勝ち切れない試合が多かったこともあり、「絶対に勝とう」と誓って決戦へ。序盤、相手の強力アタッカー陣に飲み込まれそうになりながらも気持ちで引かずに食い下がった。立ち上がりに失点していれば、ズルズルと失点を重ねたかもしれない。だが、熊倉のファインセーブやDF陣の我慢強い守備でピンチを凌ぐと、徐々に相手のスピードに慣れて攻守両面で良さを発揮していく。

 1本目34分にFW安斎颯馬(青森山田高)の突破、クロスから、右SB長田京兵(市立船橋高)のファインゴールで先制。守備陣の健闘もあって無失点のまま迎えた3本目には、諦めずに前線からボールを追っていたFW福田師王(神村学園高)のハードワークが2点目のゴールを引き寄せた。そして、1点差とされて迎えた試合終了間際に、このチームが取り組んできた連動した崩し。最後は右SB内田陽介(青森山田高)の折り返しをMF永吉飛翔(神村学園高)が決めて勝利した。

 この試合では、高校選抜のU-18代表世代5選手も奮闘。U-18日本代表の冨樫剛一監督も「敵として見た時にどういう力を発揮できるのかと思って見ていました。彼らは結果を出してくれたんじゃないかと思います」と評価するプレーで、個のアピールにも成功した。

 日本高校選抜の活動は28日のトレーニングに終了。それぞれが所属チームで新たな目標へ向かっていく。蒲原監督は「日本代表、ああいう舞台で一人でも多くの選手が活躍してくれればありたいと思います」とエール。全国の高校サッカー部の代表選手たちはこの貴重な経験を必ず将来に活かす。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2020

TOP